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【ブラッセル駐在員 島森 宏夫 3月8日発】EU常設獣医委員会は3月6日、 イギリスからの家畜・畜産物輸出禁止の延長(3月27日まで)、EU内での家畜市 場の開催禁止(2週間)など、口蹄疫の防疫対策強化に関するEU委員会提案を承 認した。現在までの発生報告(イギリスからの輸入家畜を除く)はイギリス(北ア イルランドの1例とグレートブリテン全域)に限られているが、発生が拡大・長期 化してきたため、予防策を強化することとなった。さらにワクチン接種の可能性に ついても議論されたが、イギリスのこれまでの発生・防疫状況、ワクチン実施の費 用対効果などを勘案し、現時点では得策ではないと判断された。次回の常設獣医委 員会は3月21日に予定されている。 今回承認された対策のうち、新たなものは次の3点である。 @ EU全域での家畜市場開催の禁止 A 感受性のある動物(偶蹄類)の移動禁止ただし関係当局の承認を得た場合に限 り、と畜場への直接出荷および農家間直接移動のみは許される B イギリスから他の加盟国へ移動する車両のタイヤ消毒 なお、2月20日にイギリスで口蹄疫の発生が確認されて以来、EU委員会がこれ までに実施してきた疾病まん延防止対策は以下の通り。 ・ 2月21日:イギリスからの生体家畜・畜産物(牛、羊、ヤギなど、ならびに食 肉、食肉製品、生乳、乳製品(ウイルス汚染防止のための適切な加熱処理などが 行われた場合を除く))の輸出禁止 ・ 3月1日:加盟国に対し、イギリスから加盟国に向けて2月1日以降2月21日 までに輸出された羊およびヤギなどの緊急と畜、発生が疑われた場合の家畜隔離 など予防的措置の実施を義務付け イギリスにおける3月8日現在の発生確認状況は、グレートブリテンで106件、 北アイルランドで1件の計107件となっている。防疫のためこれまでにと畜された 動物総数は7万4千頭余り、さらにと畜待ちの頭数は1万8千頭に上っている。日 ごとの確認状況を見ると、3月3日および7日がそれぞれ16件と最高で、まだ予断 を許さない状況が続いている。 また、各国別のこれまでの主な対策(予定を含む)の概要は次の通りである。 ○アイルランド ・イギリスと関係のある羊1千頭をと畜 ・北アイルランド国境近くの全家畜市場の開催禁止 ・北アイルランドから同国へ輸入される飼料・食料の承認・監視体制の強化 ・狩猟の禁止 ○スペイン ・イギリスから輸入した豚540頭をと畜 ○フランス ・イギリスから輸入した羊および関連の羊計5万頭をと畜 ・イギリス−フランス間の気象変化様式のモニター(注:口蹄疫ウイルスは風に 運ばれて伝搬すると言われている) ○ベルギー ・イギリスから輸入した羊2千頭をと畜 ・羊およびヤギの移動禁止 ・イギリスから家畜を輸入した農家15戸の監視 ○オランダ ・イギリスと関係のある農家の牛、羊、豚、鹿計4,300頭をと畜 ○ドイツ ・イギリスから輸入した家畜の検査 ・イギリスの発生農家と関連ある羊2千頭をと畜 ○イタリア ・イギリスから輸入した羊および豚の検査 ・感受性のある動物のEUおよび域外からの輸入を全面禁止
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