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【ワシントン駐在員 樋口 英俊 4月19日発】米議会下院農業委員会では、昨 年3月以降、次期農業法の議論の参考とするため、主要生産地の生産者や主要農産 物の生産者団体などを対象とした公聴会を実施してきた。公聴会は、議会の会期が 改まった2001年以降も継続して実施され、それぞれの団体がより具体的な農業政策 への提言を行っている。 畜産関係団体のうち、全国生乳生産者連盟(NMPF)は、96年農業法では廃止 されることとなっていたものの、市況の低迷により延期されてきた価格支持制度に ついて、次期農業法の施行期間中、100ポンド当たり9.90ドル(1s当たり約27円: 1ドル=125円)の支持水準も含めて、現行制度を維持すること、また、連邦ミル ク・マーケティング・オーダー(FMMO)制度に基づくクラスV(チーズ向け) およびW(バター、脱脂粉乳等向け)の生乳価格に関して、100ポンド当たり11.08 ドル(1s当たり約31円)の目標価格を設定し、これを下回った時に所得を補てん する制度を新たに導入することを提案した。NMPFは、この2つの組み合わせに よって、生乳生産者に対して、大幅な価格変動に対処するための効果的なセーフテ ィネットを与えることができるとしている。 全国豚肉生産者協議会(NPPC)は、飼料価格の低下を図るため、大豆のロー ンレートの2割引き下げを提案したほか、環境保全のためのコストについて、経営 規模にかかわらずすべての生産者が補助の対象となる制度を設ける必要があるとの 意見を述べた。全国肉牛・牛肉生産者協会(NCBA)は、市況の低迷時における 生産者救済策などの短期的な政策の必要性は理解するが、食品安全性、貿易、税制、 環境、研究調査などの長期的な政策をより重視すべきとの見方を示した。 同委員会のコンベスト委員長(共和党、テキサス州)は、公聴会の結果などを参 考に、7月初旬には次期農業法のうち、農産物プログラムに関する法案を作成した いとしている。しかし、上院のルーガー農業委員長(共和党、インディアナ州)は 5月下旬から6月の初旬にかけて、これらの検討に着手したいと述べている段階で あり、さらに同委員会の少数党リーダーであるハーキン議員(民主党、アイオワ州) は、今年中の次期農業法の制定は困難と断言している。 一方、行政サイドも、ベネマン農務長官が先ごろ、民間調査会社の会議において、 次期農業法の方向性についてようやく言及した程度で、下院農業委員会が唯一先行 している感じは否めない。なお、同長官は、そのスピーチの中で、生産者への補助 は必要に応じて行わなければならないが、そのことによって価格の上昇や競争力の 低下につながる措置は避けなければならないと語った。 また、次期農業法に関する基本的な検討課題として、生産者支持のために継続的 に支出可能な農業予算の水準、農業政策の対象となる生産者の定義、世界貿易機関 (WTO)協定との整合性、環境保全プログラムの役割などが挙げられた。
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