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WTO閣僚会議に対する米国内の反応


【ワシントン駐在員 渡辺 裕一郎 11月15日発】今回の第4回世界貿易機関(W
TO)閣僚会議においては、まず、長年の懸案であった中国と台湾のWTO加入が
承認された。

 これについて、ベネマン米農務長官は、実質的な関税の引き下げによって、米国
産農産物の輸出が促進されるとして、歓迎の意を表明するとともに、これら国・地
域における合意内容の完全履行とWTOルールの順守を確保していく必要があると
述べた。

 99年における米中の二国間合意によれば、中国は米国の関心品目について、2004
年までに関税を半分以下に引き下げることとされており(注:これは最恵国待遇で
WTOの全加盟国に適用される)、例えば、牛肉については現行の45%が12%に、
家きん肉は同20%が10%に、チーズは同50%が12%の水準にまで下げられる(豚肉
は同20%が12%)。また、輸入禁止措置や輸出補助金の撤廃なども約束されている。
一方、台湾についても、米市場の開放や、豚肉、牛肉および家きん肉のアクセス拡
大などが合意されている。これら合意内容が実施に移されれば、米国産農産物の輸
出が、中国に対しては年間約20億ドル(約2,460億円:1ドル=123円)、台湾に対
しては同約5億ドル(約615億円)それぞれ増加すると米農務省(USDA)は予
測している。

 全米最大の農業団体ファーム・ビューロー(AFBF)のストールマン会長は、
「中国と台湾のWTO加入は米国農業にとっての重要な勝利である」と賞賛し、ま
た、全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)のキーズ副会長も、「昨年、米国産牛
肉の輸出金額は36億ドル(約4,430億円)を記録したが、中国の牛肉関税の削減水
準は、さらなる輸出拡大をもたらすものである」とコメントした。

 また、11月14日には、新ラウンド交渉を立ち上げる閣僚宣言が採択され、農業も
他の分野とともに一括受諾(シングル・アンダーテーキング)の対象となり、その
交渉期限を2005年1月1日とすることが決定された。

 ベネマン農務長官は、「これは、さらなる市場開放を図るとともに、米国農家の
競争力を妨げるような貿易障壁を低減させるための交渉を後押しする歴史的な合意
である」として、今後の交渉に向けた米国の立場を強調した。

 同日、農産物の貿易促進を図ることを目的として、99年に100以上の農業団体に
よって組織された連合グループのアグトレード(AgTrade)も、新ラウンド交渉の
開始を支持する旨の声明を出している。そのメンバーには、AFBFやNCBAを
はじめ、畜産関係では、全国豚肉生産者協議会(NPPC)、全国生乳生産者連盟
(NMPF)、全国鶏肉協議会(NCC)、アメリカ食肉協会(AMI)、国際乳
食品協会(IDFA)、全国レンダラーズ協会(NRA)、ペット・フード協会な
どが名を連ねている。これら団体の多くは、米国政府に対し農業貿易政策に関する
助言などを行うため、議会によって設立された農業政策/農業技術諮問委員会のメ
ンバーともなっている。昨年の米国のWTO農業交渉提案も、USDAと米通商代
表部(USTR)とが、これら諮問委員会の助言も仰いで策定されたという経緯が
ある。

 いずれにせよ、米国の農業関係団体だけ見てもさまざまな利害が絡み合う、決し
て単純ではない新ラウンドがスタートする。
   

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