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ブラジル産牛肉輸出拡大に向けた動き


【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 10月3日発】 ブラジル農務省は8月2日、
主要な牛肉輸出先である欧州市場の拡大を図るため、ブラジル産牛肉販売促進計画を
開始すると発表した。これは、業界団体などと連携を図りながら、ブラジリアンビー
フという商標を通じて、牧草肥育を主体としたブラジル産牛肉の特色を消費者に訴え、
需要を拡大しようとするものである。

 同計画の活動内容として、@畜産関係者やオピニオンリーダーなど約100名をブラジ
ルへ招き、主要牛肉生産地域への視察を行う、A欧州のマスメディアを通じてブラジ
ル産牛肉を宣伝する、Bドイツのケルン市で10月中旬に開催が予定されている国際食
品展への業界団体の積極的参加を促すことなどが挙げられている。

 また、同国では、欧州市場を中心に輸出拡大や収益性向上などを図るため、有機牛
肉生産への取り組みも見られる。

 そのひとつに農務省が8月初めに資金の拠出を発表したパンタナル有機子牛計画が
ある。これは、同国中西部のマットグロッソ州およびマットグロッソドスル州に位置
する広大な低湿地帯であるパンタナルにおいて、8〜12ヵ月齢の有機子牛肉生産を奨
励し、欧州市場を中心に国内外の市場へ生産物を販売するものである。同計画は、パ
ンタナルの環境保全に配慮しつつ、生産物の高付加価値化・差別化により地域経済の
活性化を図る取り組みとして注目されている。同省は、パンタナルの環境保全や経済
活動プロジェクトを推進するパンタナルパーク協会(IPP)が実施するこの計画に
対し、同省およびマットグロッソドスル州政府が計26万8千レアル(約1,206万円:
1レアル=約45円)を拠出するとし、政府の支援態勢を明らかにした。IPPでは、
同計画における年間の有機子牛肉生産量を約1万5千トン(枝肉換算ベース)と推定
している。

 また、ブラジルの大手牛肉輸出業者であるインデペンデンシア社は、欧州市場をタ
ーゲットとした有機戦略として、マットグロッソドスル州の2牧場において2年前よ
り有機牛の飼育に着手し、今年初めて120頭をと畜したと発表した。同社によると、
有機牛肉製品は、従来製品よりも最大で2割高い輸出価格での取引が可能であるとい
う。現在、同社は、約7千頭の有機牛を飼養しているが、これを2002年中には約1万
8千頭へ拡大したいとしている。

 ブラジルの大手調査会社によると、2001年1〜7月の牛肉輸出量(冷蔵肉、冷凍肉、
および加工肉の枝肉換算値の合計)は前年同期比19.2%増の39万6千トン、牛肉輸出
額(FOBベース)は11.2%増の5億4百万ドル(約609億8千万円:1ドル=約121
円)となった。今年5月にリオグランデドスル州で口蹄疫が再発したものの、ブラジ
ルの牛肉輸出が好調さを継続している背景には、欧州における牛海綿状脳症(BSE)
および口蹄疫問題、自国通貨レアルが安値で推移する為替動向、同国の口蹄疫ワクチ
ン接種清浄地域の拡大などがある。

 ブラジル政府や牛肉業界は、2001年の牛肉輸出額を10億ドル(約1,210億円)と見
込み、2002年の同目標値を12億ドル(約1,452億円)としているが、ブラジル産牛肉
販売促進活動や有機牛肉生産への取り組みが思惑通りの成果を挙げられるか、今後の
ブラジル産牛肉輸出の展開が注目される。 



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