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ウルグアイ、EUへの牛肉輸出再開の見通し


【ブエノスアイレス駐在員 浅木 仁志 10月11日発】現地報道によると、EU常
設獣医委員会は10月9日、11月1日以降にと畜処理されたウルグアイ産の牛肉と羊
肉(骨抜き熟成肉)の輸入の解禁を、EU委員会に勧告したと伝えられている。ウ
ルグアイ農牧水産省は、今回のEUの判断を事実上の解禁と受けとめ、ほぼ半年ぶ
りにEU向けの生鮮肉輸出が再開されるとしている。

 2001年4月23日、ウルグアイで口蹄疫発生が確認されて以来、EUは同国からの
生鮮肉の輸入を中止していた。

 ウルグアイは、2001年4月25日に血清型Aの口蹄疫の国内発生が確認されて以来、
病気は国内全土に爆発的に広がり、国際獣疫事務局(OIE)に認定された口蹄疫
ワクチン不接種清浄国の衛生ステイタス(96年認定)と国内生産量の約7割が仕向
けられる主要な輸出市場を失っていた。
 
 今回のEUの判断は、10月初めのEUの家畜衛生調査団によるウルグアイでの現
地調査結果に基づくものである。ウルグアイ国内の全牛群を対象に5月から7月に
かけて実施された2回のワクチン接種が順調に終了し、官民をあげての口蹄疫撲滅
対策が功を奏し、8月21日の発生を最後に現在に至るまで新たな発生が報告されて
いないこと、生産からと畜解体処理までの家畜のトレーサビリティーが担保されて
いることなどが判断材料となったようだ。

 また、ウルグアイ政府が公式に口蹄疫ワクチン接種清浄国の宣言を主要な輸入国
に対して通知したとの情報もあり、EUの解禁の後は、チリ、イスラエルおよび北
アフリカ諸国がそれに続くと見られている。

 なお、ウルグアイの家畜衛生当局の資料によると、9月7日までの口蹄疫の総発
生件数(農場単位)は2,058件、ウイルス活性がなくなった件数は2,054件で、ウイ
ルス活性が認められるのは、その時点ですでに4件のみであった。同資料では、ウ
ルグアイは今後もワクチン接種を継続し、2003年の全牛群へのワクチン接種を一応
の区切りとし、その結果から家畜衛生ステイタスを総合的に判断し、必要な対策を
とるとしている。

 ウルグアイに比べ広大なアルゼンチンは、優先順位を考慮して第2回目のワクチ
ン接種を実施中である。家畜衛生当局の発表によると、9月25日までの総発生件数
(農場単位)は2,113件、ウイルス活性がなくなった件数は1,984件で、129件にウ
イルス活性が認められた。

 同局は10月10日時点でウイルス活性がある件数は31件に減少し、9月27日以降新
たな発生は報告されていないとし、終息説も流れている。しかし、9月中の発生件
数は17件であり、10月中に発生はないと誰も予測はできず、今後の状況を注視する
必要がある。

 なお、EUの家畜衛生調査団のアルゼンチン来訪は今のところ11月19日以降に予
定されているが、発生終息が確実でない状況で調査団来訪に意味があるのか政府内
部でも議論されているようだ。調査団が来れば、前回のEU調査団の勧告(海外駐
在員情報通巻492号2001.7.17)の実施状況に関し、家畜のトレーサビリティーと
それを担保する制度の見直し状況を含め、再度厳しい現地調査が実施されることに
なるだろう。


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