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運営委、2002年度の牛肉チェックオフ計画を承認(米)


【ワシントン駐在員 樋口 英俊 10月11日発】牛肉促進運営委員会は先ごろ、20
02年度のチェックオフ資金を財源とする販売促進、研究及び情報プログラムに関す
る計画を承認した。牛肉のチェックオフ制度は、85年牛肉促進研究法に基づいて、
肉牛生産者などから肉牛の取引時などに一定の額を徴収し、牛肉の販売促進、研究
及び各種の情報活動を行うものである。牛肉促進運営委員会も同法によって設立さ
れた組織で、全国レベルのチェックオフ計画の承認権限などを与えられている。

 2002年度の総予算額は、前年度の計画を2%上回る4,300万ドル(約51億6千万円
:1ドル=120円)で、その内訳には、次のものがある。

 @ 消費者に対して、牛肉の便利さや栄養価値を訴求する広告や、主要外食チェ
  ーンやスーパーマーケットでの販売促進など。予算は約2,429万ドル(約29億1
  千万円)。
 A 牛肉の食品安全性および商品満足度を向上させる各種研究プロジェクト。予
  算は約536万ドル(約6億4千万円)。
 B 医療関係機関、食品ジャーナリスト、その他のマスコミ関係者との協力によ
  る牛肉のイメージ向上や、牛肉の健全性(wholesomeness)に関する若者およ
  び子供向けの広報活動および教育などの消費者情報プログラム。予算は550万
  ドル(約6億6千万円)。
 C 肉牛業界のイメージ向上や、牛海綿状脳症および口蹄疫といった家畜疾病に
  関するマスコミの取材など、牛肉の販売に負の影響を与えると思われる問題へ
  の対策などから構成される業界情報プログラム。予算は約185万ドル(約2億2
  千万円)
 D 米国産牛肉の輸出拡大を図るために、米農務省の輸出促進関連の資金ととも
  に使用されるもの。予算は約456万ドル(約5億5千万円)
 E 肉牛生産者へのチェックオフ制度実施結果のフィードバックなどを目的とし
  た生産者への情報伝達。予算は150万ドル(約1億8千万円)。 

 牛肉の消費は77年以降、約20年間にわたって低迷を続けてきたが、米国経済の好
調さなどを反映して、98年以降回復の動きを見せてきた。しかし、昨年後半頃から、
経済が減速化し始め、さらに9月11日には同時多発テロが発生し、経済の先行きは
悪化するとみるエコノミストが多い。

 牛肉は、所得弾性が比較的高く、経済の影響も受けやすいとされるが、牛肉ステ
ーキをメインとしたレストランチェーンの中には、売上が減少しているところが出
てきているほか、大手スーパーの1つであるセーフウェーでも、いわゆるレッドミ
ートからより安価な鶏肉への消費のシフトがあるという。

 フィードロットの飼養頭数が高水準で推移するなど、供給圧力も高まる中で、肉
牛生産者団体や主要生産州選出の国会議員が早くも、米農務省に対して、学校給食
プログラムでの買い上げや海外への援助輸出を要求しているとも報じられているが、
本来的な意味で需要を支えていくチェックオフ計画の重要性は、悪化する経済環境
下で、益々高まっていると言えよう。


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