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【シドニー駐在員 幸田 太 10月18日発】豪州食肉家畜生産者事業団(MLA) は10月12日、豪州の米国向け牛肉輸出進ちょく状況を公表した。それによると、現 在、米国政府はWTO合意に基づき牛肉について国別の関税割当を行っており、豪 州に対しては、年間378,214トンの割当を行っているが、輸出が好調な今年は、年 内に当該割当数量を超過する可能性が指摘されている。 今年に入り米国向け牛肉輸出量は7月、8月がそれぞれ44,320トン、41,206トン、 さらに9月が約32,000トンに達し、1月から9月第4週までに米国関税局の通関ベ ースで259,833トン(関税割当数量に対する進ちょく率68.7%)を消化した。 10月10日時点の数量は、通関数量実績279,137トン(同73.8%)、関税割当数量 残99,077トンとなり、着実に当該割当数量に近づきつつある。 現在、米国は、豪州に対し、輸入割当数量378,214トンには輸入枠内関税率4.4U Sセント/kg(約5.2円:1米ドル=120円)を適用しているが、当該割当数量を 超過した場合は、一律26.4%の関税率が適用されることとなる。 MLAによると昨年来、1豪ドルが50USセントという豪ドル安が続いているこ とが記録的な輸出量の増加の直接の要因とされる。 牛肉生産量及び輸出量
年度 | 98/99 | 99/00 | 00/01 |
生産量(枝肉/万トン) | 201 | 199 | 205 |
総輸出量(船積/万トン) | 93 | 90 | 102 |
米国向輸出量(〃) | 30 | 33 | 41 |
資料:MLA 注 :年度は7〜6月 一方、豪州大手パッカーによると、9月末から下降基調に入った国内生体価格と 牛海綿状脳症(BSE)により牛肉消費の冷え込みが始まっている日本市場への先 行きの不透明感から、米国向け輸出が増加したことも状況を加速させたとしている。 また、当該輸入数量は通関ベースであるが、船積みベースでは10月末には、当該数 量を超過するとの見方もある。 MLAは、多くの船積契約が米国到着後保税扱いで30日間留め置けることとなっ ており、通関までには時間的に余裕があるため、状況を冷静に判断するとしている。 豪州の牛肉産業は、生産量の約6割を輸出する輸出依存型産業であるため、輸出 相手国の状況に左右される。豪州にとって、米国と日本は2国で牛肉輸出量の7割 以上を占める主要輸出相手国である。現在、米国枠の超過による高関税適用の可能 性と、BSE発生による日本の牛肉消費の冷え込みという2つの問題に直面してい る状況となっており、豪州牛肉産業にとってその影響は甚大である。
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