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【ブエノスアイレス駐在員 浅木 仁志 10月19日発】今月初めブエノスアイレス で、アルゼンチンフィードロット生産者協会と業界出版社の共催で、フィードロッ トに関する特別セミナー(フィードロット2001)が開催された。 放牧主体のアルゼンチンではフィードロット生産の歴史が浅いことを踏まえ、参 加した多数の生産者に対して、フィードロット生産の基礎から応用までの技術的ア ドバイス、流通や販売で同国が抱える特殊事情と解決すべき課題などについての講 演が行われた。 本セミナーでの講演の主な内容は次のとおりである。 (成長ホルモンの使用について) アルゼンチンで使用される成長ホルモンはゼラノールが主体である。政府補助が ない同国では、成長ホルモンはコスト削減に不可欠であることが強調された。ただ し、従来からEU向けの牛肉には使用を禁止するなど輸入国の要請に従っていること、 出荷前最低60日以上の非投与期間を設けていること、繁殖用の家畜には使用を禁止 していることが述べられた。さらに昨今の成長ホルモンを禁止しようとする家畜衛 生当局の動きは科学的根拠に欠けると批判した。 (食肉流通・取引上の問題点) 同国の国内市場では、小型の枝肉の方が整形処理が容易で消費者のし好も良いこ とから、高く取引される。例えば雌の半丸枝肉が113kg以上のものは買い叩かれ、 高価格で取引される子牛の半丸枝肉は73kg以下となっている。このような格付けは 長年の商習慣によるもので、線引きの根拠はあいまいで、また、品質や赤身肉比率 などを考慮した科学的根拠のある規格ではない。 多くの国内向けは、と畜後24時間以内の枝肉を小売店に搬入している。熟成効果 は無視され、枝肉を担いで搬入するのは流通コストの問題以前に非衛生的である。 特に、アルゼンチンの地方では、枝肉までの処理は当局に登録した施設以外処理す ることが技術的に可能なため、枝肉取引が流通段階の脱税の温床になっていること は否定できない。 また、アルゼンチンでは、衛生・防疫対策上、家畜移動許可証の保持が義務付け られているが、発行手続きが煩雑なことから、発行が遅れ、流通に支障をきたすこ とも多い。 (フィードロット生産の課題) アルゼンチンの先物取引市場は小規模で、価格面でフィードロット経営を安定さ せるほど円滑に機能していない。そのためフィードロット生産者は目先の価格変動 に一喜一憂し、将来計画が描けずフィードロット経営の安定化が課題となっている。 先進国では生産から販売まで多くの契約行為によって商売上のリスクを減らして いるが、同国の流通過程の契約行為はおろそかで、畜産業はリスクの高い業種にな っている。このことはいまだに枝肉取引が主流であること、闇取引や脱税が多いこ とと密接に関係している。 一般にと畜頭数の約1割(150万頭)がフィードロット由来といわれるが、最近の データでは250万頭ともいわれるなど、まず正確な統計を取ることが基本となる。 今後、フィードロットを成長産業とするには、まず透明性と信頼度の高い市場と し、経営を安定させていくことが必要である。
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