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NZ酪農乳業は今後も拡大基調の見通し


【シドニー駐在員 粂川 俊一 10月25日発】ニュージーランド(NZ)農林省は
先般、NZ農林業の現状と見通しについて公表した。その中で酪農乳業については、
今年前半の南島と北島南部における干ばつが引き続き2001/02年の生乳生産に影響
を与える可能性は高いとしながらも、この10月に正式に設立されたフォンテラの一
層強固になった生産力・販売力を背景に、生乳生産、乳製品生産・輸出とも拡大基
調の見通しである。

 今回の現状と見通しの中で、酪農乳業関係では次の2点を総括している。

@  生乳生産は、経産牛頭数の増加や春の好天気により前年比8%増で2000/01年
 を終えたが、今後も経産牛頭数と生乳生産の増加は引き続くと予測される。

A  2000/01年の生産者への平均支払乳価は、高水準な粉乳類の国際価格や為替相
 場でのNZドル安(対米ドル)により5.01NZドル(約256円:1NZドル=51
 円)/kgであり、今後の乳価については、国際乳製品価格やNZドルの動向によ
 るものの、4.5NZドル(約230円)/kg以上で推移することが予測される。

 酪農乳業に関わる現状と見通しの推移は下表のとおりであるが、2001/02年以降2
004/05年までの見通しについては、南島における農場数の増加や経営の規模拡大が
大きな要素になっているようだ。

 2004/05年度までの北島の経産牛頭数は、離農や都市化の進展があるものの、規
模拡大を進める農家によって、おおむねその数は維持されるとみられている。一方、
南島については、昨年末のNZデイリーグループによる南島への新規参入規制の廃
止決定によって酪農場の売買件数の減少傾向に歯止めがかかることや、土地価格の
上昇率が鈍化すると予測されていることから、新規参入や規模拡大を通じて経産牛
頭数が増加すると見ている。

 このような生産構造の見通しを受けて、乳製品に向けられる生乳生産は、2004/
05年にはおよそ121万トン(乳固形分換算ベース)に達すると予測される。生乳生
産の伸びに比例して乳製品の生産量、輸出量とも増加すると見ており、2004/05年
まで毎年およそ200万トンの乳製品が生産され、180万トンが輸出されると予測して
いる。

 ただし、これらの予測は南島においてかんがい用水の確保や、環境面での問題が
起きないことが前提に想定されていることから、南島の順調な酪農の発展がカギを
握っている。 

○酪農乳業の現状と見通し				(単位:千トン)
    99/00年 00/01年 01/02年 02/03年 03/04年 04/05年
生乳生産量
(乳固形分
換算ベース)
970 1,045 1,060 1,110 1,160 1,210
主な乳製品生産量
バター 344 384 385 395 415 435
チーズ 297 283 285 300 310 325
脱脂粉乳 256 305 320 335 350 365
全粉乳 373 444 460 480 500 525
主な乳製品輸出量
バター 329 334 365 385 395 405
チーズ 248 256 265 280 285 295
脱脂粉乳 218 255 325 350 360 360
全粉乳 371 464 450 470 490 515
資料:NZ農林省ほか 
注1:隔年とも6月〜5月
 2:バターにはギーを含み、脱脂粉乳にはバターミルクパウダーを含む。


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