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【ブエノスアイレス駐在員 浅木 仁志 8月30日発】アルゼンチンにおける20 01年上半期(1〜6月)の牛肉輸出量は、主だった輸出市場の閉鎖により約9万6千 トン(枝肉ベース)となり、前年同期約18万トンを47%下回った。 このうち、EU向け高級牛肉ヒルトン枠輸出は4月以降途絶え、2001年上半期の 輸出量は5,383トン、輸出額(製品ベース、FOB価格)は2,787万ドル(約33億4千 万円:1ドル=120円)で、輸出量は前年同期比58%の減少となった。 EU向け高級牛肉ヒルトン枠を除く生鮮肉(冷蔵、冷凍肉)輸出については、3 月まで約3万トンと順調に推移したものの、4月以降著しく減少し、2001年上半期 の輸出量は3万2,233トン、輸出額は7,434万ドル(約89億2千万円)で、輸出量で は前年同期比57%の減少となった。現在、アルゼンチン産生鮮肉を解禁している のは、ブラジル、オランダ領アンティル、香港、ペルーとアフリカの数カ国であ る。農畜産品衛生事業団(SENASA)の統計では、4月以降もイスラエル、米国、 カナダ、ドイツなどがアルゼンチン産生鮮肉を輸入しているが、これは同国の口 蹄疫発生以前に契約した分が冷凍肉で出荷されているものである。 2001年上半期の加工肉の輸出量は、1万9,581トン、輸出額は5,426万ドル(約 65億1千万円)で、輸出量では前年同期比21%の減少となった。米国が約9,000ト ンと約半分を占め、イギリス,オランダ,イタリアがそれに続いている。 一方、肉牛と畜頭数についてみると、国家農牧取引管理事業団(ONCCA)の統 計では、2001年上半期は約580万頭(前年同期比6%減)と報告されている。今年 に入りと畜頭数が一貫して減少している。これは表面上、家畜保留の傾向がまだ 続いていると考えられる。 @ ビーフサイクルではすでに家畜保留の時期を抜けており、かつ半年以上も家 畜が保留されるとは考えにくい A 金融経済不安による畜産経営悪化と輸出市場の先行き不透明感から、現金化 を求める生産者が家畜の出荷を急いでいる B 家畜保留時期の特徴である未経産牛の活発な取引が見られない などから、と畜頭数の減少は家畜保留が長引いているのではなく、もはや生産者 に手持ちの肉牛が乏しくなっているからだと説明する肉牛関係者もいる。また、 牛肉生産量(枝肉ベース)については、去勢牛の平均枝肉重量が前年同期比で約 2.8kg減の273kgであったことから、2001年上半期は123万8千トン(前年同期比8 %減)となった。 このように、国内生産は減少しているものの、口蹄疫の発生で主要な輸出市場 がほとんどすべて閉ざされているため、国内供給量が増加している。このため、 今年1月には、83セント/kg(約100円)であった去勢牛平均生体価格が、7月には 80セント/kg(約96円)を割り79セント/kg(95円)まで下がった。 今のところ国内供給量の増加を堅調な消費が価格を支えているが、肉牛関係者 の間では、勤労者所得の減少による消費の手控えが起きると65セント/kg(78円) まで下落する可能性もあるとの懸念が持たれている。
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