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【シンガポール 小林 誠 8月30日発】マレーシア農業省獣医局は、首都クア ラルンプール近郊のマインズ地区にあるマレーシア国際展示場を会場に、8月27 日から30日までの4日間にわたって2001年畜産エクスポを開催した。農業省は、 99年に第1回農林水産業エクスポを開催しており、今回はここから畜産が独立し たかたちとなった。今回のエクスポは、マレーシア獣医協会、マレーシア農業大 学、畜産農家協会連合(FLFAM)などの協賛を得て、国内の畜産関連企業を中心 にアメリカ、オランダなど21ヵ国、約200社が参加して行われた。 参加企業には、チャロン・ポカパン(CP)などのグループの傘下企業も含まれ ているが、これらグループは一括しての出展となったため、ブースは参加社より も少ない約100ヵ所だった。出展ブースは、獣医局、農業大学、農業関係出版協 会、プレゼンテーション用光学機器、山羊の人工授精、ハラル(イスラム教の教 義に則った処理)認証済みの牛肉製品の6ヵ所を除き、残りはすべて養鶏関連 (飼料、関連加工品を含む)であり、企業化・大規模化の進んだマレーシア養鶏 産業の実態を反映したものとなっている。エクスポと平行して、周辺のホテルで 開催されたセミナーと一般技術講演会もサルモネラ対策や養鶏における抗生物質 の適正な利用法から、ふん尿処理対策に至るまで、いずれも養鶏産業を中心とし たものとなっている。 同国は、97年のタイを発端とした通貨危機によって経済的に大きな打撃を受け ており、同年末に発表した第3次国家農業計画を早々に見直さざるを得ない状況 に追い込まれた。昨年末に発表された修正第3次国家農業計画では、農業生産を 向上させることが新たな重点課題とされており、農業省をあげての取り組みが行 われている。27日の開会式で挨拶したエフェンディ農業大臣は、昨年の畜産の生 産額が約55億リンギ(約1,760億円:1リンギ=約32円)に達し、2010年には100 億リンギ(約3,200億円)に達すると予測しており、輸出余力も含め、畜産がき わめて順調な発展を遂げているとしたうえで、作物生産や水産にも畜産と同様の 努力を期待していると述べた。 開会式では、今回新たに創設された各分野でマレーシアの畜産の発展に功績の あった者に贈られるマレーシア畜産賞の表彰式も行われた。団体の部は優秀賞、 種鶏農場部門、ブロイラー部門、食肉加工部門、飼料部門、鶏卵部門、商品開発 部門の7部門の賞に分かれており、国内でも有力な企業のレオン・ハップ社やア ヤマス食品社が対象となった他、個人の部にも受賞があった。 今回のエクスポは、入場者を畜産農家と畜産・食品業界関係者に限定したもの だったが、広い会場は連日多くの訪問者であふれており、同国における養鶏を中 心とした畜産関係者の活力を感じさせるものとなっていた。
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