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【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 9月5日発】ブラジルの大手調査会社が7 月に行った穀物の作付意向調査によると、今年のトウモロコシの作付面積は前年比 8.3%減の約1,200万ヘクタールと見込まれている。これは、生産者がトウモロコシ より価格が優位である大豆などの作付けを選択すると予想されることが大きい。 一方、ブラジル農務省では、同国の養鶏、養豚産業などからの需要に応じられる 飼料原料生産を確保し、ブラジル産食肉輸出の増大を目指していることなどから、 トウモロコシの作付面積の減少傾向に歯止めをかけたいとしている。 同省は例年、農業融資制度や最低価格保証制度などを柱とする農業プランを発表 する。同プランの目的の一つは、生産者が作付作物の最良な選択を行うことにある としている。7月初めに発表された2001/02年度(2001年7月〜2002年6月)の新農 業プランにおける農業融資制度では、大豆生産者に対する融資限度額が前年度に比 べ2.0倍〜2.5倍と大幅に引き上げられたのに対し、トウモロコシ生産者に対しては 前年度と同額の20万レアル(約940万円:1レアル=約47円)と据え置かれた。し かし、同省は7月下旬、トウモロコシ作付面積の減少が懸念されるとして、トウモ ロコシの主産地における融資限度額を25万レアル(約1,175万円)に引き上げる発 表を行った。 さらに、8月下旬、2001/02年度における第1回目のトウモロコシの販売オプショ ン契約として2002年3月15日を満期日とする60万トンの競売を9月5日に実施すると 発表した。2000/01年度分については、収穫期を通じて約240万トンの競売が実施さ れた。この販売オプション契約とは、生産者または組合が、オプション料を支払う ことで、契約の満期日に、決められた価格(権利行使価格)で生産物を政府に対し 売却する権利を保有するものである。今回の契約は、競売が作付期に実施され、満 期日が収穫期に設定されているが、これは、生産者が作付けの選択を行う際に、下 落が予想される収穫期の生産物価格を政府があらかじめ一定価格で保証することで、 生産者の作付意欲を刺激することが狙いとされる。なお、今回の契約では、権利行 使価格が10.00レアル(約470円)/60kgに設定されている。 同省は、2001/02年度におけるトウモロコシの販売オプション契約として300万ト ンを割り当てる予定であるが、9月5日の競売分60万トンを除く240万トンの競売時 期などについて現段階では確定していないとしている。なお、州別の割当数量は、 パラナ州113万トン、リオグランデドスル州24万9万千トン、ミナスジェライス州5 万8千トン、サンタカタリナ州19万3千トン、ゴイアス州87万7千トン、サンパウロ 州2万7千トン、マットグロッソドスル州31万4千トン、その他の州15万2千トンとな っている。 同省では、こうしたトウモロコシ作付奨励策により、畜産部門などからの需要に 応じられる飼料原料生産を確保するだけでなく、余剰トウモロコシの輸出を推進す る意向であることも発表している。一方、業界関係者の間では、政府による奨励策 は、これから作付けが始まる中西部や南東部では、作付意欲を多少刺激するとみら れるが、南部では一部の地域ですでに作付けが始まっていることから、政府発表の 遅れを指摘する声も多い。
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