ALIC/WEEKLY
【ブラッセル 山田 理 9月6日発】EU統計局(EUROSTAT)は9月4日、2001年 第1四半期(1〜3月)におけるEU15ヵ国の農産物生産者価格(速報値)を公表 した。 これによると、名目農産物生産者価格は、前年同期比3.5%高と2000年の第2四 半期から4期連続でプラスとなったが、その上昇率は徐々に縮小している。物価上 昇分を差し引いた実質農産物生産者価格は、前年同期比0.9%高とかろうじて増加 を維持した。
実質農産物価格について品目別に見ると、穀物価格の下落などにより耕種作物は 同3.4%安となった。これが、全体の上昇率を引き下げる要因となっている。一方、 畜産物は同5.7%高と、2000年の第1四半期から5期連続でプラスとなり、高い伸 びを維持した。 しかし、一見堅調に見える畜産物価格も、2001年第1四半期では、品目ごとの状 況が大きく異なっている。 昨年末に再燃した牛海綿状脳症(BSE)問題による牛肉消費の減少により、子 牛・成牛価格は記録的な大暴落に見舞われた。介入買上や廃棄のための買上計画な ど、EU委員会による需給対策でかなりの量の牛肉が市場から隔離・排除されたに も関わらず、2001年第1四半期の子牛・成牛価格は、それぞれ前年同期に比べて15. 7%安、13.4%安と大幅に低下した。 対照的に、他の畜種の価格は堅調に推移している。豚および羊(子羊を含む)の 価格は同35.6%高、29.1%高と特に顕著な上昇を示した。豚価格の上昇については、 @生産縮小により需給バランスが改善されていたことに加え、ABSE問題の再燃 による代替需要の増加や、Bイギリスに端を発した口蹄疫(FMD)の発生・拡大 に伴い、家畜の移動が制限され、出荷抑制に繋がったことなどが挙げられる。同様 に、羊についてもBSEやFMDなどの影響があったものとみられる。 実質農産物生産者価格の増減(前年同期比) (単位:%)
四半期 | 2000年 | 2001年 | |||
品目 | 第2 | 第3 | 第4 | 第1 | |
合計 | 0.5 | 4.2 | 1.9 | 0.9 | |
耕種作物 | -4.8 | 2.7 | -2.2 | -3.4 | |
穀物 | -0.4 | -3.8 | -4.7 | -5.2 | |
果物 | -8.2 | -0.9 | -6.2 | 2.7 | |
野菜 | 8.9 | 26.0 | -1.2 | -11.6 | |
畜産物 | 6.9 | 5.8 | 6.4 | 5.7 | |
子牛 | 1.0 | 0.0 | -3.9 | -15.7 | |
牛 | 0.7 | 2.4 | -4.7 | -13.4 | |
豚 | 26.8 | 14.2 | 25.5 | 35.6 | |
羊・子羊 | 20.7 | 11.8 | 22.2 | 29.1 | |
家きん | 7.2 | 6.5 | 7.9 | 6.9 | |
牛乳 | -1.4 | 1.2 | 2.5 | 2.8 |
元のページに戻る