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【ブエノスアイレス 玉井 明雄 4月3日発】ブラジル豚肉生産輸出業協会 (ABIPECS)によると、2001年の豚肉製品等の輸出量は前年比でほぼ倍 増の26万5千トン(製品重量ベース、ラードおよび内臓を含む)と過去最高と なった。 輸出相手先を見ると、ロシア向けが前年比約6.5倍の15万2千トンとなった。 2000年7月から本格的な輸出が始まったロシア向けは、2001年にはブラジル豚 肉輸出の6割近くを占め、同国最大の輸出先となっている。伝統的な市場とし ての香港向け、アルゼンチン向けは、それぞれ4.2%減の4万7千トン、5.7% 増の3万9千トンとなった。アルゼンチン向けは、同国の経済危機やブラジル との貿易摩擦にもかかわらず数量では増加している。 こうした輸出の増加を反映し、2001年の豚肉生産量は顕著な伸びを示してい る。サンタカタリナ州農業経済企画院(ICEPA)によると、2001年におけ るブラジルの豚肉生産量は、前年比7.6%増の223万4千トン(枝肉重量ベース。 以下同じ)と推定されている。 これを州別に見ると、国内生産の約3割を占め、同国最大の豚肉生産州である サンタカタリナ州は、前年比6.4%増の66万3千トンと見込まれる。この増加要 因としては、輸出の増加に加え、潤沢な飼料基盤に立脚したインテグレーション の進展、地方の消費地向けとなる肉豚を生産する独立系養豚農家における飼養管 理技術の向上などを挙げている。同州の豚肉生産に占める仕向け先のシェアは、 州内が15.9%、他州が58.5%、輸出が25.6%となっている。ICEPAでは、同 州の生産量は今後も増加基調が継続するとみている。 養豚部門の経営環境については、好調な輸出などを背景に2001年の生産者価格 (サンタカタリナ州)が前年比13.0%高の1.22レアル(約71円:1レアル=約58円) /kgとなったことに加え、トウモロコシ価格の下落により生産コストが低減したこ とから、収益性の向上が図られたとしている。 2002年の需給動向について、ICEPAによると、生産量は前年比6.0%増の 236万8千トンと見込まれている。この要因としては、引き続き輸出増加が見込 まれること、中西部における生産規模拡大への投資効果が現れていること、南部 における生産性の向上、養豚部門の収益性の回復などを挙げている。また、国内 消費量は前年並みと見込まれる一方、輸出量は過去2年間の増加基調が継続し、 前年比で20〜25%の増加が見込まれている。なお、養豚部門の収益性に関連して は、輸出の増加により生産者価格が引き続き堅調に推移するとみられるが、2002 年のトウモロコシは減産が見込まれることから、生産者価格の上昇分が生産コス トの上昇分で相殺される可能性もあるとしている。
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