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【ワシントン 樋口 英俊 4月4日発】 ベネマン米農務長官、ウサビアガ・メキ シコ農牧・農村開発・漁業・食料長官らは4月3日、両国間の農産物貿易問題での協 力を強化するための覚書に署名した。この覚書には、@両国間で農産物貿易問題が 生じた際、貿易が中断される前に、素早くかつ包括的に対応できるように意図され た「迅速対応」チームを含む農業協議委員会(CCA)を設立すること、ACCA のメンバーは米農務省(USDA)、米通商代表部(USTR)、メキシコ農牧・ 農村開発・漁業・食料省(SAGARPA)およびメキシコ経済省(SE)の幹部 職員から構成されること、BCCAを通じて、その時々の問題点に応じたアクショ ンプランを策定すること、CCCAの活動を支持、促進するため、4省庁の長が最 低でも年に1度は顔を合わせて意見交換すること、D2002-2003年のアクションプラ ンを実行に移すことなどが定められている。 ベネマン米農務長官はこの署名の際の声明で「農業は両国の貿易、投資において重 要な位置を占めている。この合意は、両国の農産物貿易の機会を拡大するもの」と語 った。2001年における米国のメキシコへの農産物輸出は、74億ドル(約9,842億円: 1ドル=133円)に達し、94年の北米自由貿易協定(NAFTA)実施以降、約58% の増加となった。 2002-2003年のアクションプランは16の項目から構成されており、その主なものは 次のとおりである。 1. 豚肉および家きんの貿易問題 @NAFTAに基づき、メキシコの米国産豚肉および家きん肉に対する関税割当制 度も2003年1月から廃止されることとなっているが、これに伴う関連部門への懸案事 項に取り組むことなどを目的として、二国間のタスクフォース「チーム2003」を設立 する、AUSDAの動植物衛生検査局(APHIS)は、今年中に、バハ・カリフォ ルニア州、バハ・カリフォルニア・スル州、チワワ州、シナロア州を豚コレラの低リスク 地域として認定するための規則提案を行えるよう努力する、BUSDA/APHIS は、比較検査を実施できるよう、外来の(exotic)ニューカッスル病の遺伝暗号を特定 したサンプル(coded sample)をSAGARPAの指定する研究所にできるだけ早い時 期に送る、CUSDA/APHISは(exotic)ニューカッスル病に関して、ユカタン、 カンペチェ、キンタナローからの家きん肉などに対する特定の輸入規制を緩和するた めの規則改正を優先的に処理する。 2. 農産物輸入手続きおよび文書の調整 USDAおよびSAGARPAは、検査過程、提出書類に関する要件などの農産物輸 入手続に関し、貿易コストの低減、双方向の貿易円滑化を図るため、所要の措置を講じる。 3. 文書の電子送信 USDAとSAGARPAはこれまでも、衛生・植物検疫関連の文書を直接国境の検 査官に電子送信するシステムの開発に従事してきたが、今後さらにその取り組みを強化 する。 4. 家畜衛生上のセキュリティに関する協力 USDAとSAGARPAは、どちらかの国で発生し、他方へ広がる可能性のある家 畜疾病について、早期警戒システムと緊急アクションプランをさらに強化していく。 5. メキシコでの検査体制強化への協力 USDAは、食肉加工および検査に携わるメキシコ政府職員に対するトレーニングを 引き続き実施していく。また、 SAGARPAは、メキシコの家畜衛生法 の施行が、米墨間の食肉貿易を妨げることのないよう、メキシコ議会に働きかけていく。
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