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オーガニック農業の推進に向けた勧告(アイルランド)


【ブラッセル 島森 宏夫 4月25日発】アイルランドのオーガニック(有機)農
業開発委員会はこの程、オーガニック農業推進のための勧告を取りまとめ、公表し
た。その抜粋は以下のとおりである。

(現状)

 アイルランドのオーガニック農業は、開発初期段階にある。農業・食料・農村地
域省(DEFRA)への登録農民数は1,000人あまりで、農用地面積では約30,000
ヘクタールがオーガニック農地またはオーガニック農地への転換中となっている。
オーガニック農家の80%以上で、牛肉生産または子羊(ラム)生産が行われている。

 オーガニックミルク生産者(酪農家)は24人で、大きなオーガニックミルク処理
業者(乳業者)が1社、小規模処理業者がいくつかある。また、オーガニック養豚・
養鶏については生産量が少なく、オーガニック飼料の入手可能性が発展の鍵である。

(勧告)

・オーガニック農業推進役およびオーガニック分野とその他分野の連携強化の基
 盤として、利害関係者からなるオーガニック運営グループを設置すべきである。
 さらに、訓練・教育・助言・研究の調整などを行う連携専門家作業グループや、
 オーガニック市場開発グループを設置し、その組織化を図るべきである。

・オーガニック分野の情報収集、情報の利害関係者への公開が不可欠である。オ
 ーガニック農業調査は、間隔をおいて何回か実施すべきであり、第1回調査は20
 02年に実施すべきである。調査結果を分析し、個別分野で目標を設定できるかを
 検討すべきである。

・情報の効果的な広報のため、DEFRAのオーガニック担当部局はオーガニッ
 ク・データベースおよびウエブサイトを作成・維持・管理すべきである。情報は、
 DEFRAおよび利害関係者から収集すべきである。

・オーガニック農業の国内規則を作成すべきである。規則は、消費者の信頼を得
 るとともに海外オーガニック製品に対する競争力を維持するために十分厳格であ
 るべきではあるが、過度および不必要な規制にならないようにすることが重要で
 ある。

・主要農産物について、潜在的な利益を検討評価するため、事例研究や生産費・
 価格分析などを実施すべきである。

・関係者は一連の関連出版物を作成すべきである。

・オーガニック市場開発グループは、デザイナーを雇用し、アイルランド産オー
 ガニック食品に添付するラベルを作成すべきである。(現在、国内の3団体が独
 自ラベルを作成しているが、認知度は低く全国的なラベル作成が望ましい。)

・主要生産者団体は、オーガニック農業が農業者に大きな機会を与えるものであ
 ることを認識し、会員に対し、オーガニック農産物の販売について助言・援助す
 べきである。

・オーガニック農業推進のため、財政的援助事業を改善すべきである。

・ミルク生産クオータ(枠)の追加配分はオーガニック乳製品の製造を伸ばそう
 としている業者、オーガニック酪農家に対して行うべきである。

・大手乳業者は、処理施設をオーガニックミルク向けに当てることを検討し、大
 規模供給者(酪農家)のオーガニック生産への転換を助長すべきである。オーガ
 ニック乳業を積極的に推進する乳業者に対し、DEFRA、農業団体などは最大
 限実行上の後援をすべきである。 


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