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【シドニー 粂川 俊一 4月24日発】豪州連邦政府のトラス農相は4月23日、今 年の9月に計画されている全国的な口蹄疫発生模擬演習は、豪州においてこれまで 行われたこの種の演習としては最も大規模かつ複雑なものになると発表した。この 演習計画は、3月下旬の検疫法(Quarantine Act)改正の際、家畜疾病発生時の対 応を試す機会になるものとされていた。 トラス農相は、豪州が産業界、連邦、州・準州などのあらゆる段階で、家畜疾病 発生に対する迅速な制御と撲滅の計画を持っており、対応能力は十分であり、国際 的にも認識されていると評価している。しかしながら、口蹄疫のように重大な家畜 疾病に対する国家的な対応能力を試すことは緊要であり、対応能力向上の可能性を 確認するだけでなく、実際の対応実務に携わる人々を訓練する重要な役目を持続す る機会であると今回の演習の意義を説明している。 模擬演習は、いくつかのカギを握る州と地域の対応だけでなく、連邦政府機関を 横断した緊急的な役割と結合、州・準州政府機関における内外への緊急的な役割と 連携など国家的なレベルでの意思決定と意思疎通を試すことに主眼が置かれており、 次のようなものが試される見込みである。 ・ 連邦・州政府と産業界の間の国家レベルでの対応計画の整合性 ・ 実務管理上の対応手順 ・ 病気発生に伴う感染の拡大を制御するための対応能力 ・ 物流管理上の対応手順 ・ 個々の家畜伝染病に対する制御の政策や戦略を具体的に定めたオズベットプ ラン(AUSVETPLAN)の有効性 ・ 貿易管理上の対応手順 ・ 社会経済の回復に向けた戦略とプロセス トラス農相は、英国における口蹄疫の発生に関連する巨大な社会的かつ経済的な 損失を例に挙げ、連邦政府は既に、豪州に侵入する疾病のリスクを最小にするため の財政負担も行っているものの、このような家畜疾病に対してゼロ・リスクはあり 得ないとしている。また、家畜疾病が発生した場合に備え、最も優れた対応計画や、 迅速かつ効果的に発生を包含し、撲滅する最も優れた対応の枠組みを持っているこ との重要性を強調している。さらに、もし口蹄疫のような深刻な家畜疾病の発生が あるならば、ほぼすべての豪州人に影響が生じる可能性があるとした上で、「豪州 の貴重な農業財産を守ることはすべての豪州人によって共有される責任であり、家 畜疾病からの清浄性を保証する役割を誰もが担っている」としている。 豪州政府は、重大な家畜疾病発生時の国家レベルでの対応体制の強化を進めてお り、この模擬演習の実施によって体制整備の有効性が検証されることになる。
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