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アルゼンチン、有機製品の輸出量が増加


【ブラッセル 犬塚 明伸 8月22日発】アルゼンチン農畜産品衛生事業団
(SENASA)の発表した「2001年におけるアルゼンチンの有機生産の状況」による
と、2001年の主な特徴は、以下のようなことが挙げられている。

@ 有機製品(有機農畜産物および加工製品)生産の主要目的は輸出であり、主
  な輸出先はEU諸国(有機農産物の輸出量47,993トンのうち8割の38,473トン
  がEU向け)であること
  
A 有機製品の生産について、植物性の製品は高い成長率を示したが、動物性の
  製品で成長したのはハチミツであること
  
B 有機製品として認定を受けるために調査対象として登録した施設の増加率は、
  近年に比べ鈍化していること
  
C 有機農畜産物の認定収穫面積は増加していること

D 主としてパタゴニア地域における有機牧羊生産の施設の増加により、畜産に
  使用する面積が増加していること
  
E 大豆、トウモロコシ、パン用小麦などの穀類および油脂植物、ナシ、リンゴ
  などの果実、タマネギその他の野菜など、輸出が大きな比重を占める有機農産
  物は、その比率を維持していること
  
F 提供される有機加工製品の種類が増加していること

G 有機の砂糖、果実ジュース、ワインが大きく増加していること
  が挙げられている。

  有機農産物等の輸出量は、前年比60%増とかなり伸びているが、反面、牛肉は
72%減少している。これは、アルゼンチンにおいて、2001年3月に口蹄疫が発生
したことから、EUなどが輸入禁止措置を講じたためである。

  有機農産物等の輸出が増加傾向で推移するなか、アルゼンチン外務省輸出振興
局主催で8月6日、日本に有機製品を輸出するためのセミナーが開催された。セ
ミナーでは、日本の有機JASマークを取得し、日本へ輸出するためには、企業
はJASマーク取得手数料や有機製品認定に係る検査官旅費等に約6,600ドル(約
78万円:1ドル=118円)の経費が必要になることなどが紹介された。2001年にお
いて、日本へはマテ茶、カミツレ茶などの有機栽培茶が445キログラム輸出されて
いるのみであるが、アルゼンチンでは、日本をEU、米国と同様に世界の有望な
市場として捉えているようである。
   アルゼンチンの有機農畜産物の生産 
 
2000年
2001年
生産面積
(万ha)
畜産
264.3 289.6
農業
3.9 6.4
合計
268.2 296.0
生産面積
(トン)
牛肉
589 152
鶏肉
161 46
牛乳・乳製品
4,304 335
畜産物計
5,054 533
農畜産物等
34,238 50,526
合計
39,292 51,259
輸出量
(トン)
牛肉
522 147
畜産物計
522 147
農産物等うちEU
29,972

23,980

47,993

38,473

合計
30,494 48,140
資料:SENASA
注)農産物等には穀物、油糧種子、果実、野菜、工芸農作物、
    加工製品などを含む。畜産物には、ハチミツ、生体家畜、
    鶏卵は含まない。各数量は製品ベース(ただし、2000年の
    牛乳・乳製品は有機認定生乳量ベースであり、約1割程度
    が製品となったとSENASAは推定)。
     
 
○ 8月15日、アルゼンチン農牧水産食糧庁長官が辞任:アルゼンチン国
際農牧工業展の公式開会式では例年、大統領や農牧水産食糧庁長官が農業対策
について演説している。本年は農業問題が山積みしていたため(海外駐在員情
報第542号参照)、8月3日に行われる開会式の演説内容が注目されていた。し
かし、ドゥアルデ大統領は治安の悪化を理由に欠席し、デルペッチ農牧水産食
糧庁長官の45分にもおよぶ長い演説の中で、農業対策は何ら語られなかった。
この演説に対する社会的批判や、口蹄疫ワクチン接種体制の問題点を放置した
責任などの報道がなされる中、デルペッチ長官は8月15日辞任し、後任にはブ
エノスアイレス州農牧省長官のレベド氏が就任した。
 

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