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ブラジル、トウモロコシのメルコスル対外共通関税を引き下げ


【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 11月29日発】   ブラジルのプラチニデモラ
エス農相は11月19日、メルコスル(南米南部共同市場)加盟国以外の国から輸
入するトウモロコシの対外共通関税(TEC)を9.5%から2%に引き下げる案が
11月25日からブラジリアで開催されるメルコスル貿易委員会(CCM)に提出
され、承認された場合2002年12月〜2003年2月の間において、推定される不足
量100万トンのトウモロコシを、現行よりも低い関税で輸入できることになると
発表した。この措置の目的は、トウモロコシの生産量の減少および需要量の増
加による供給不足を回避することである。

  また、ブラジル農務省農業政策局セリオ・ポルト局長によると、メルコスル
決議69号により、深刻な供給不足の場合、メルコスル加盟国以外からTECを
引き下げて緊急輸入することは認められているが、関税をゼロにすることは認
められず、加盟国を優遇する最小の関税を保持する必要があるとのことである。
もし、関税引き下げ案が承認されなければ、ブラジル政府は、各国100品目ま
で認められているTECの例外品目リストにトウモロコシを含め、メルコスル
加盟国以外から関税をゼロにして輸入することも可能となる。

  ブラジルはメルコスル加盟国に対し、このように事前にアピールしていたが
、CCMにおいてメルコスル圏内でブラジルの不足量を供給できるとの理由か
ら提案は否決された。これに対しブラジルは、11月27日に同国の関係閣僚が集
まる貿易審議会(CAMEX)において、トウモロコシをTECの例外品目リ
ストに含め無税にすることを決定した。この措置を実施するにはメルコスル決
議68号に基づき、CCMの上位機関であるメルコスル共同市場グループ(GM
C)の承認を事前に得る必要があり、11月28日に開催されたGMC会議におい
て、例外品目リストに含めるものの、関税は2%、輸入量は60万トンまでとす
ることを決定した。

  国内のトウモロコシ不足は、生産と需要の二面から生じており、ポルト局長
によれば生産面では以下の原因がある。

@ 2001/02年度の栽培面積が前年度に比較して5%減少したこと(2000/01年度
    :1,297万ヘクタール→2001/02年度:1,232万ヘクタール)。

A パラナ州と並び夏作(第1期作)の大生産州であるリオグランデドスル州
    が不作であったこと(2000/01年度:624万トン→ 2001/02年度:398万ト
    ン)。

B 冬作(第2期作)の最大生産州であるパラナ州が不作であったこと(2000
    /01年度:293万トン→2001/02年度:195万トン)。

C これらによって2001/02年度の生産量は前年度の4,229万トンから約710万
    トン減少して3,521万トンの生産にとどまったこと。

  また同局長は、「需要側の要因としては、2002年1〜9月の豚肉および鶏肉の
生産量が前年同期比で10%前後増加したことから察するように需要増が事態を
一層深刻化している。さらに今後の見通しとして、北東部に干ばつ、南部に大
雨をもたらすエルニーニョ現象により作付けが遅れており、南部のリオグラン
デドスル州では通常1月末の収穫予定が2〜3月になると予想される。また、2002
/03年度の栽培面積の減少やパラナ州の冬作(第2期作)に対する霜による不
作の可能性も心配され、トウモロコシの供給不足は来年も続く可能性がある」
と述べている。

  ブラジルは2001年にトウモロコシを62.2万トン輸入しているが、そのうちメ
ルコスルからは97.5%の60.6万トン(アルゼンチン32.1万トン、パラグアイ28.5
万トン)で、メルコスル以外では米国が 1.6万トンとなっている。また、2002
年1〜10月までに22.2万トンを輸入しているが、輸出税20%を賦課し、ブラジ
ルでは許可されていない遺伝子組み換え作物を栽培しているアルゼンチンの輸
出量が2.9万トンであるのに対し、パラグアイが19.2万トンと1国で全体の90.8
%を占めている。今回の関税引き下げ措置により輸入先がさらにどのように変
化するのか注目される。

 

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