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【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 2月20日発】ブラジル鶏肉輸出業者協会 (ABEF)がとりまとめた輸出動向(速報値)によると、2001年1〜12 月の鶏 肉輸出量(骨付きベース。以下同じ)は、過去最高を記録した前年を37.8%上回る 124万9千トンとなった。 このような輸出量の大幅な増加要因として、@ブラジルの自国通貨が安値で推移 したこと、AEUにおける牛海綿状脳症(BSE)および口蹄疫問題の影響により、 牛肉や豚肉の代替としての鶏肉需要が増加したこと、B輸出市場を積極的に開拓し たことなどが挙げられる。 輸出量を形態別に見ると、丸鶏が前年比23.3%増の58万トンとなる一方、パーツ が53.4%増の66万9千トンと著しく増加した。輸出全体に占めるパーツのシェアは、 前年比で5.5ポイント上昇し53.6%となり、初めて丸鶏のシェアを上回った。また、 付加価値の高いパーツの大幅な増加を反映して輸出額も大きく増加し、60.3%増の 12億9千万ドル(約1,729億円:1ドル=134円)となった。 地域別に輸出量を見ると、丸鶏の主要市場である中東向けが、22.4%増の45万3 千トンとなり、パーツの主要市場であるEU向けは、79.6%増の23万8千トンと飛 躍的に増加した。日本を含むアジア向けは、10.1%増の29万7千トンとなったが、 輸出全体に占めるシェアは6.0ポイント下げて23.7%となった。 国別に見ると、同国最大の輸出相手国で、全体の約2割のシェアを持つサウジア ラビア向けが23.2%増の25万6千トン、次いで多い日本向けが19.6%増の13万1千 トンとなった。3番手の輸出相手国である香港向けは11万5千トンと2.3%増の伸 びにとどまった。この要因としてABEFは、香港へ輸出された鶏肉の多くが中国 に再輸出されるとみられるが、中国が2001年5月半ばにブラジル産食肉の輸入を停 止したことを挙げている。 EU向けは、ドイツ、オランダおよびイギリスの3ヵ国で全体の約4分の3を占 めるが、ドイツ向けが約2.3倍の6万8千トン、オランダ向けが62.8%増の6万4 千トン、イギリス向けが約2.0倍の5万トンとなっている。 南米のアルゼンチン向けは、同国政府が2000年7月にブラジル産鶏肉丸鶏に対し 導入したアンチダンピング措置が継続中であることから、45.1%減の2万3千トン と大幅に減少した。その他、新興市場では、ロシア向けが約4.7倍の9万7千トン、 南アフリカ向けが約2.1倍の3万2千トン、キューバ向けが約3.2倍の2万3千トン と、いずれも大幅に伸びた。 こうした大幅な輸出増加を反映して米農務省(USDA)は、2002年におけるブ ラジルの鶏肉輸出量を前年比15.0%増の143万トンと予測している。これは、@E U、ロシアの堅調な需要、A東欧、アフリカなど新興市場向けの輸出増加、Bブラ ジル産トモロコシの減産予測により飼料コストの上昇が見込まれるものの、自国通 貨の安値傾向によりブラジル産鶏肉の輸出競争力が継続すると見込まれるためであ る。
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