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次期農業法案が上院を通過、両院協議会での調整へ(米国)


【ワシントン駐在員 渡辺 裕一郎 2月20日発】連邦議会・上院本会議は2月13
日、次期農業法案を58対40で可決した。これにより法案審議の舞台は、いよいよ両
院協議会の場に移されることになった。上下両院をそれぞれ通過した法案(上院案
:番号S1731、下院案:番号HR2646)には、下表のように数多くの相違点が見られ
る。

 今回の上院法案についてブッシュ大統領は、これまで自らが再三にわたって提唱
してきた「堅実な農業政策(sound farm policy)」が盛り込まれていないこと、
今後10年間の追加的予算735億ドル(約9兆8,620億円:1ドル=134円)が、2006
年までの5年間に前倒しで充当され、後半の5年間が手薄になることなどから、
「失望した」との声明を発表した。また、ベネマン農務長官も「大統領が署名でき
るような法案の完成に向け、今後も議会メンバーや農業関係者などと連携を密にし
ていく」と述べ、両院協議会での再考を促した。

 各作物の作付面積は、次期農業法案で規定される価格支持の水準などにより大き
く左右される。このため、今春の作付けに間に合うよう、3月25日の議会休会前に
両院協議会での調整を終え、直ちに大統領の署名をもって次期農業法が施行される
ことを関係者の多くは期待しているが、上下両院案双方の隔たりを埋めるのは簡単
ではないだろう。

○上下両院の次期農業法案の概要
内容 上院法案 下院法案
実施期間 ・5年間(2002〜2006年)* ・10年間(2002〜2011年)
追加的予算額 ・735億ドル(10年間)
・うち、最初の5年間で450億ドル(61%)を充当
・735億ドル(10年間)
・うち、最初の5年間で360億ドル(49%)を充当
緊急支援措置 ・2001年における災害対策として、24億ドルの追加的支払いを実施(うち、畜産関係5億ドル) (なし)
耕種作物  直接支払い ・価格変動に対応した新たな直接支払い(不足払い制度)の導入(目標価格の水準:上院法案<下院法案)
・農家直接固定支払いは存続(上院法案は支払い単価が漸減)
マーケティング・ローン ・存続(ローン・レートの水準:上院法案>下院法案)
政府支払上限 ・27万5千ドル/経営体 ・55万ドル/経営体
酪農政策 ・加工原料乳価格支持制度は存続(支持価格:9.9ドル/100ポンド)
・価格変動に対応した新たな直接支払いを導入(20億ドル/4年間) (なし)
環境保全 ・214億ドルの増額(10年間)(うち10億ドルの水利権対策) ・158億ドルの増額(10年間)
食肉パッカー規制 ・食肉パッカーの家畜(家きんを除く)所有を禁止 (なし)
原産地表示 ・食肉等(家きん肉、加工品は除く)の原産表示の義務化 (なし)
*注:10年間の予算措置のうち当面5年を対象とした法案となっている。

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