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【ブラッセル駐在員 山田 理 1月17日発】 EU統計局(EUROSTAT)は、先般、 2001年の農業収入見込み(暫定値)を公表した。これによると、同年におけるEU 15ヵ国全体の農業者1人当たりの実質農業収入は、前年に比べ2.7%増加したと推定 されている。 各国別の動向は次表のとおりで、13ヵ国で増加し、2ヵ国で減少した。豚価格の 回復などにより実質農産物生産額が大幅に増加したデンマークの伸びが最も大きか った。なお、2001年に口蹄疫(FMD)の大発生に見舞われたイギリスについて、 FMDによる損失およびこれに対する政府からの補償は、実質農業収入の算出から 除外されている。
国 名 | 増減(前年比%) |
デンマーク | +12.5 |
ポルトガル | +9.5 |
オーストリア | +8.5 |
アイルランド | +7.3 |
ベルギー | +6.2 |
ドイツ | +5.7 |
オランダ | +4.3 |
イギリス | +4.3 |
フィンランド | +3.0 |
スウェーデン | +2.8 |
スペイン | +2.7 |
ギリシャ | +1.4 |
フランス | +0.8 |
イタリア | ▲0.8 |
ルクセンブルグ | ▲2.4 |
EU15カ国 | +2.7 |
各項目の内容は以下のとおりである。 1 実質農産物生産額:0.2%増加 畜産部門の増加分が耕種作物部門の減少で相殺され、 農産物全体では、前年並みにとどまった。 (畜産物) 牛に関しては、牛海綿状脳症(BSE)およびFMDの影響を最も大きく受けた。 牛肉消費の低迷により牛の実質生産者価格は、前年に比べ13.2%低下し、生産量は 1.5%減となった結果、実質生産額は10.2%減少した。 めん羊・ヤギについては、 実質生産者価格は2.5%上昇したものの、最大の生産国であるイギリスでのFMD の大発生により、生産量が5.2%減少したため、実質生産 額は7.2%減少した。 一方、豚および鶏では、牛肉等からの代替需要の増加により、価格、生産量とも前年 を上回った。特に豚の実質生産者価格および実質生産額は、16%を超える高い伸びを示 した。農産物生産額に占める割合が最も大きい重要産品である生乳では、生産者価格の 上昇により実質生産額は4.2%増加した。この結果、畜産物全体の実質生産額は2.9%の 増加となった。 (耕種作物) 穀物については、@天候不順により収量が低下したこと、A前年の生産水準が高かった ことから、生産量は7.5%の減少となり、実質生産額も4.2%低下した。耕種作物全体の実 質生産額は1.8%の減少となった。 2 実質生産資材コスト:0.2%増加 飼料および肥料価格はいずれも上昇(+2.2%、 +10.3%)したが、肥料および農薬の使用量が減少(▲6.3%、▲5.8%)したため、 全体の生産資材コストは前年並に押さえられた 3 農業労働力:1.6%減少 農業の集約化・近代化の進展により、農業労働力は一貫 して減少する傾向にあり、2001年の農業労働力は前年に比べて1.6%減少した。ただし、 その減少率は鈍化している。 4 実質農業収入:2.7%増加 全体の農業部門収益は1.1%増加し、農業労働力が1.6% 減少した結果、農業者1人当たりの実質農業収入は2.7%増加と推定された。
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