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【ワシントン駐在員 樋口 英俊 1月17日発】 米農務省食品安全検査局(USDA /FSIS)は1月16日、牛海綿状脳症(BSE)がヒトにさらされる危険性を最小化 し、食品安全性をさらに高めるための追加措置のオプションなどを示した見解ペーパー (Thinking Paper)を公表した。米国ではBSEは未発生であり、昨年11月末に公表され たハーバード大学によるBSE危険性評価調査でも、BSEが家畜または公衆衛生上の 問題となる可能性は低いと結論付けられていたが、ベネマン農務長官はその際に、BS Eに対する「守りや警戒を緩めるわけにはいかない」と述べ、追加的な規制の概要を示 した政策オプションペーパーの公表を明言していた。 本ペーパーは、FSISに関連した措置のオプションなどに関する現時点での見解を 示したもので、FSISは今後の検討のために一般からのコメントを募集している。 本ペーパーに示された主な政策オプションなどは、次のとおり。 オプション1:高リスク組織について 24ヵ月齢以上の牛およびすべての起立不能の牛から得られた脳および脊髄を特定危険 部位(SRMs)に指定し、また、これらに汚染された部位を含めてヒトの食用に供することを 禁止する。すべての牛の腸(intestine)をSRMsに指定し、ヒトの食用に供することを禁止す る。SRMsは、と畜時に除去し、ヒトの食用に使用されることがないように処理、保存し、 廃棄されるものとする。 オプション2:食肉回収システム(Meat Recovery Systems)について 圧力を利用して骨から食肉を回収するシステム(Meat Recovery Systems)への原料と して、すべての起立不能の牛(および24ヵ月齢以上の牛を含むその他の個体群も検討する) から得られた脊柱の利用を禁止する。また、先進的食肉除去システム(AMRS)での、中枢 神経システム(CNS)組織およびその関連部位の使用禁止を明確化する規則提案を検討す る。圧力を利用しないレンダリングシステム(牛肉のストック(ダシ)、香味料、抽出物 の製造に利用)での脊柱の使用に伴う潜在的な危険性についても検討を行う。 オプション3:頬肉について 24ヵ月齢以上の牛およびすべての起立不能の牛から得られた頬肉について、頭がい骨 が破砕または分割される前に除去されていなければ、当該頬肉をヒトの食用に供すること を禁止する。 また、他のBSE対策に関連した政府部局である米保健社会福祉省食品医薬品局(FD A)などの活動を支援するため、@レンダリング業者および死亡畜、病畜などおよびと畜以 外で死亡した家畜の一部を売買または運搬する業者に対する記録保持および登録の義務付 けに係るFSISの強制力を強化する、Aと畜場で処理されるすべての牛について、肉牛 供給業者から「知り得る限りにおいて、当該牛へはFDAの規則によって禁止された飼料は 給与されていない」との証明書の提出を義務付ける、などのオプションが提示された。 さらにFSISは、先のハーバードスタディでは、本ペーパーの政策オプションによる、 ヒトのBSEにさらされる機会減少の可能性に関する評価が行われていないため、同大学に 対して、同大学のリスク評価モデルを利用した当該政策オプションの評価を行うよう依頼 した。
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