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米国向け牛肉割当枠配分、決着(豪州)


【シドニー 幸田 太 7月4日発】トラス農相は6月27日、懸案となっていた米
国向け牛肉輸出割当枠の管理計画について、直ちに実施に移すことを明らかにした。

 同計画は、5月15日に公表されたトラス農相案(「海外駐在員情報」平成14年5
月28日号参照)を不服とした野党の労働党、民主党の要求で6月末に開催された聴
聞会(上院委員会)の勧告内容を考慮して決定されたものである。

 上院委員会の勧告は、食肉処理業者ごとに米国向け6割、米国向け以外4割の過
去の輸出実績で案分すること、また激変緩和措置として対前年比で85%の下限およ
び140%の上限を設けその範囲内に調整すること等を基本に置くトラス農相案をお
おむね支持し、次の4点について行われた。

● 不測の事態に備えるため、政府保留分として、2002年はトラス農相案の約14,0
 00トンから30,000トンに引き上げること。

● 連邦政府は、引き続き米国政府に対し現行378,214トンの牛肉輸出枠の拡大ま
 たは、撤廃を要求すること。

● 2003年の輸出枠配分方法についても、直ちに検討を開始すること。

● 豪州産牛肉の米国と並ぶ重要な市場で ある日本の販売促進を政府主導で推進
 すること。

 これを受け、トラス農相は、最終的な同計画の内容を次のとおり定めた。(5月
に公表されたトラス案の変更点のみ記載)

○ 政府保留分の14,000トンについては、食肉処理業者ごとに更に均等に約4.5%
 ずつ徴収し、合計30,000トンとする。

○ 独立した審査委員会を設立し、政府管理分30,000トンの配分、管理を行う。審
 査委員会は食肉産業界と直接の関係がなく、また牛肉輸出配分を受けない者から
 構成される。また、審査委員会はすべての輸出枠の配分方法についても助言を行
 うとともに、2003年の配分方法決定の考え方について、2002年10月1日までに報
 告を行う。

○ 連邦政府は、豪州食肉処理業者の効率的な市場アクセスが制限されないように
 今後も米国に対して牛肉輸入枠を増やすよう強く求め続ける。

 なお、日本市場への販売促進については現時点で農相は言及していないが、業界
団体では、今年度の日本向け輸出量の低迷により、来年度における日本の関税の緊
急措置発動を懸念する声が広がっていることも上院委員会の勧告に組み入れられた
要因の一つと考えられている。

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、6月18日時点での米国向け船積
数量は約17万トンとなり、米国への輸出割当数量378,214トンに対し45%を消化し
ている。日本での需要低迷もあり、米国への牛肉輸出数量が増加していることから、
今年は昨年よりも早い時期に輸出割当数量を超過するとの見方もあり、牛肉輸出割
当枠に関する管理計画の決定が急がれていた。

 報道によれば、牛肉輸出割当枠をめぐる先行きの不安から処理場の閉鎖や、苦肉
の策としてカナダ、日本向けの輸出など新たな活路を模索し始めた米国輸出専業の
食肉処理業者もあるという。

 上院委員会による調査の実施が最終的な決定を遅らせたが、連邦政府は、7月15
日から米国向け牛肉輸出割当枠配分の実施を予定している。
 

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