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【ブエノスアイレス 犬塚 明伸 2002年6月19日発】アルゼンチン農畜産品衛 生事業団(SENASA)は6月14日、5月の牛乳・乳製品輸出統計(製品重量ベース。 ただし、牛乳は粉乳換算ベース)を公表した。その中で特徴的な動向を見せている のは、牛乳・粉乳類における輸出であり、1〜5月の輸出量は66,600トンと、前年 同期の42,000トンを大幅に上回っている(58.6%増)。一方、輸出額は1億9百万 ドル(約135億円、1ドル=124円)で前年同期の8千6百万ドル(約107億円)に対 して25.9%増となっている。 変動相場制に移行した1月以降、乳業メーカーは輸出に力を入れている。乳業メ ーカーはドル建て債務返済のためドルを獲得する必要があるが、経済不況の中、購 買力が落ちている国内では収益を得にくいことから、ドルを簡易に入手する目的で 輸出促進の道を選んでいる。 なかでも、主に南米近隣諸国、アフリカおよび中東向けに輸出している全粉乳の 伸びは大きく、2002年1〜5月では約56,000トンと、前年同期の約32,300トンに比 べ73.2%増となっている。これは、2001年の年間輸出量約83,300トンの7割弱をす でに輸出していることになる。国別に見ると、昨年と同様第1位はブラジルで、20 02年1〜5月で約26,100トンと、昨年の輸出量30,200トンの9割相当に当たる。ま た昨年第2位であったメキシコとは全粉乳の取引がなく、代わって第2位には昨年 第3位のアルジェリアが約11,200トンで浮上しており、昨年の1.6倍をすでに輸出 している。第3位には昨年8月から新規開拓が功を奏して取引が始まったヨルダン が約5,400トンとなっている。 輸出量が増加した要因には、乳業メーカーの思惑とともに、通貨切り下げによる 輸出価格の値下げの効果があると思われる。アルゼンチンペソは兌換法時代の1ド ル=1ペソから、6月には1ドル=3.5ペソ前後で推移しており、通貨は大きく下 落している。牛乳・粉乳類の輸出価格は、2001年はおおよそ1kg当たり2ドル(約 248円、FOBベース、以下同じ)であったが、2002年1〜5月の1kg当たりの価格は 1.6ドル(約198円)と40セント(約50円)程度安くなっている。また、月毎に進む ペソ安とともに輸出単価も下落し、5月には1kg当たり1.45ドル(約180円)となっ ている。 アルゼンチン農牧水産食糧庁の5月レポートによれば、「2002年の第1四半期に おいて、国内生乳生産は10.5%減少(生乳ベース)するも牛乳・乳製品の17%(製 品重量ベース)が海外市場に輸出されており、これは前年同期比の12%を上回って いる。」と報告されている。近年、国内需要が伸びつつも生産量が低下する中、輸 出促進による国内消費向けシェアの低下が起こり、さらなる品不足、それに伴う価 格の上昇、経済不況による購買力の低下、利益を求めた輸出の増大と、国内消費シ ェアを減らし輸出を増大させるシナリオは、経済不況が続く限り、まだまだ続きそ うである。 牛乳・粉乳類の平均輸出単価(FOBベース) (ドル/kg)
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1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
年平均 |
2001年 |
2.00 |
2.06 |
2.07 |
2.13 |
2.09 |
2.03 |
2002年 |
1.73 |
1.70 |
1.67 |
1.57 |
1.45 |
*1.63 |
増減率(%) |
▲13.5 |
▲17.5 |
▲19.3 |
▲26.3 |
▲30.6 |
− |
*:2002年1〜5月の平均
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