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EU委、2009年までの農畜産物需給予測を公表


【ブラッセル 山田 理 2002年6月20日発】EU委員会は6月19日、2002〜2009
年の穀物、食肉および牛乳・乳製品など主要農畜産物に関するEUおよび中東欧の
加盟候補国における需給予測を公表した。この予測は2002年4月までに入手可能な
統計に基づいて作成されたものである。

 EU(15カ国)の主要畜産物の需給予測は、次の通りである。

                    (単位:千トン)
   生産量 消費量 在庫量
2002 2009 2002 2009 2002 2009
牛肉 7,550 7,746 7,399 7,540 270 0
豚肉 17,930 18,716 16,785 17,543
鶏肉 9,096 9,654 9,041 9,696
生乳 114.5 115.7
チーズ 7,257 7,712 7,188 7,693 106 90
バター 1,818 1,706 1,731 1,714 158 66
脱粉 942 783 838 751 62 0
(注)食肉は枝肉ベース、生乳は乳業会社への出荷量、在庫量は期末のもの。

 牛肉生産は、2000年末に再燃した牛海綿状脳症(BSE)問題による消費減少に
対応するための一連の市場隔離・廃棄対策が終了するため、2002年および2003年は
増加する。その後、キャトルサイクルの下降局面にある影響で若干減少するものの、
2004年または2005年を底に緩やかな増加に転ずる。

 牛肉消費は、BSEの影響により消費者の牛肉離れが進んだため、2001年には99
年に比べて12%減少した。しかし、消費は徐々に回復し2003年にはこの影響から脱
するものと見られる。

 牛肉の介入在庫は、口蹄疫によると畜処分や廃棄のための買上計画などにより20
01年に42万5千トンが市場から隔離・排除されたことに加え、消費量が順調に回復
するとみられることから、2003年末にはほぼ解消するとしている(ただし、特別買
上に係る在庫はその後数年で解消)。

 豚肉生産は、前年の高水準な豚肉価格等の影響で、2002年は前年比2%増になる。
その後も増加していくが、増加率は縮小するものとみられる。消費はBSE問題に
より、牛肉から豚肉、鶏肉へシフトすることもあり、鶏肉に及ばないものの緩やか
に増加する。

 鶏肉生産は、堅調な消費増加を背景に引き続き増加するものの、ブラジルやタイ
からの鶏肉輸入の増加により、域内生産の増加率は抑えられる。このような輸入増
加により、数年後には、EUは純輸入国に転ずるものとみられる。

 生乳生産は、生乳生産枠(クオータ)の下で、安定的に推移する。その後、2005
年から2008年にかけてのクオータ拡大を受けて増加する。

 チーズ生産は、引き続き順調に増加するが、過去と比較するとその増加率は緩や
かなものになる。また、消費も同様に緩やかに増加する。

 バター生産は、2005年以降の生乳生産増加分も他の乳製品生産に仕向けられると
みられることから、引き続き減少する。消費は減少に歯止めがかかる兆しは見えて
いるものの、若干減少する。

 脱脂粉乳生産は、バターの生産減少に伴い、減少傾向で推移する。消費は、食品
向けは安定しているものの、飼料穀物価格の低下などにより飼料用需要が減少する。
この結果、短期的には在庫が増加するものの、生産の減少に伴い2003年以降は徐々
に在庫が減少し、2005年末には解消するとみられる。


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