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【シンガポール駐在員 小林 誠 2月28日発】2月16日から22日までの7日間に わたり、ミャンマーの首都ヤンゴンの貿易センターを会場に第1回畜産・水産フェ アが開催された。同フェアは、当初、昨年11月に畜産フェアとして開催が予定され ており、主催者も畜水省家畜改良・獣医局と同局が監督する全国畜産連盟になるは ずだったが、政府部内の事情により時期を延期して畜水省と商務省の共催で行われ た。 16日に行われた開会式は、同国の最高実力者とされる国家平和・開発協議会のキ ン・ニュント第一書記のテープカットで開始され、ブラスバンドやチアガールによ るパレードも行われるなど、大々的なものだった。開会式で行われた商務大臣の挨 拶によると、今回のフェアの目的は、(1)ミャンマー産畜産物・水産物の良さを 国際的に広報すること、(2)国産畜産物・水産物の海外からの買い付けを促進す ること、(3)畜産・水産分野への外国投資を誘致すること、(4)関連分野を含め た技術的ノウハウを得ることの4点だが、特に国内消費を充足させるよりも畜産物 ・水産物を輸出して外貨を得ようというのが本音であろう。ミャンマーは世界貿易 機関(WTO)の設立時点からのメンバーであり、中国がWTOに加盟したことにより輸 出を拡大したい意向である。同大臣は、家畜の飼料資源も豊富であることから、同 国畜産に生産余力があることを強調した。 開会式では、「国内取引から国際貿易へ」と「商業を通じて前進」と題する、今 回のフェアのために作られた楽曲がミャンマー語と英語の両方で披露され、主催者 側の意気込みが感じられた。しかし、開会式出席者には現地大使館から数組が出席 し、タイ商務省から担当局長以下数名が出席した以外、外国人がほとんどおらず、 期待とのずれが感じられた。 会場となった4階建ての貿易センターでは、1、2階と玄関前に合わせて250のブー ススペースが用意されていたが、1社で複数のブースを使用した社があったため、 総出展社数は135社、うち畜産関係は17社となっていた。当初期待されていた外国 からの出展はタイからの11社で、しかも、水産関係のみであり、昨年マレーシアで 行われた第1回畜産エクスポが多数の外国企業の出展でにぎわったのとは対照的で あった。国内畜産関係大手では、メイカ産業のインドネシアとの合弁飼料部門が出 展しただけで、ミャンマーチャロン・ポカパン(CP)社や同国中部で輸出用大規模 畜産基地を建設中のホンパングループなどの出展はなかった。畜産関係の出展は、 動物医薬品と飼料関係が中心だったが、シュー・ユウェット・フレイ社のブースに は、同社の社長が改良したという体重5s程度の巨大な生きたブロイラーが展示さ れており、見学者の興味を引いていた。 同国の経済状況は、国家計画・経済開発省が99年以降、3年連続で「金融・経済 ・社会状況白書」の公表を停止しているため公式なデータはない。しかし、通貨チ ャットが昨年1年間だけでも実勢レートで1米ドル=420チャットから同720チャット まで40%以上下落しており、庶民の経済状況も悪化している。同国の1人当たり食 肉消費量は、経済が不調なことと十分な供給量がないことが原因となって、約9s とアセアン諸国中最低水準にある。政府は畜産物の生産拡大のため、畜産団地向け の用地を確保する方向での施策を実施しているが、資金不足から家畜の増頭羽や技 術改良などが進んでおらず、前途は多難である。
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