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2001/02年度のブラジル穀物生産は過去最大と予測


【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 3月6日発】ブラジル農務省プラチニデ
モラエス農相は2月26日、2001/02年度における主要な穀物(油糧種子を含む13品
目)について、国家食糧供給公社(CONAB)が実施した第3回生産状況調査結
果を発表した。

 同調査は、主要生産地帯である中央・南部(南部、南東部、中西部の総称)にお
いて1月末から2月初めに実施されたものであるが、調査時期が生産後期に当たる
ことから、前回までの調査と比べ、現実に近い生産量が予測されている。この調査
結果によると、主要13品目の生産量は、前年度比2.3%増の1億54万トン(作付面
積は4.7%増の3,924万ヘクタール)と見込まれており、これが現実のものとなれ
ば、史上初めて1億トンに達することになる。

 今回の生産予測では、12月初めから1月下旬にかけて、ブラジル南部のリオグラ
ンデドスル州を中心に干ばつが発生したことから、南部における夏作トウモロコシ
や大豆に減産が見られるが、これらの減産は、その他の生産地での順調な降雨によ
る増産でカバーされている。

 作物別に見ると、大豆、フェイジョン豆、およびコメが増加する一方、トウモロ
コシ、綿花が減少している。特に大豆は、前年度比11.6%増の4,154万トンと過去
最高となる見込みである。これは、作付けに当たって大豆と競合関係にあるトウモ
ロコシや綿花からのシフトによる作付面積の大幅な増加(14.4%増の1,565万ヘク
タール)、良好な気象条件により1ヘクタールあたりの収量の増加などが見込まれ
るためである。地域別に見ると、全体の生産量の9割以上を占める中央・南部が10
.5%増の3,870万トンと見込まれている。

 一方、需要量の約6〜7割が国内の家畜飼料向けとなるトウモロコシの生産量は、
前年度比8.7%減の3,791万トン(作付面積は5.1%減の1,231万ヘクタール)と見
込まれている。このうち、第1期収穫分(夏作)の生産量は、15.3%減の2,985万
トン(作付面積は10.5%減の944万ヘクタール)、第2期収穫分(冬作)は、27.7
%増の806万トン(作付面積は18.4%増の287万ヘクタール)と見込まれている。
冬作の作付面積の増加要因は、夏作の減産見込みからトウモロコシ価格の上昇が見
込まれたことが大きい。
 
 夏作トウモロコシについて、生産予測を地域別に見ると、同国最大の生産地帯で
あり、全生産量の約5割を占める南部が干ばつの影響などから前年度比24.5%減の
1,462万トン、これに次ぐ南東部が0.8%減の734万トン、中西部が27.5%減の411
万トンなどと予測されている。

 夏作トウモロコシに減産が見込まれる中、プラチニデモラエス農相は1月中旬、
冬作トウモロコシ生産者などに対し、ブラジル銀行による農業融資の一部を前倒し
で実施すると発表している。これは、主に、パラナ州、サンパウロ州、マットグロ
ッソ州、マットグロッソドスル州、ゴイアス州、ブラジリア連邦区、バイア州の冬
作トウモロコシ生産者による肥料及び種子の購入を対象としたものであり、生産者
の作付け意欲を刺激することが狙いとされている。

 中央・南部における冬作トウモロコシの作付け進ちょく率(3月1日現在)は、
前年同期を11.0ポイント上回る31.4%で、良好な作付け状況となっている。冬作
トウモロコシの生産予測値である約800万トンは政府目標でもあるが、この記録的
な生産量が達成されるか否か、今後の動向が注目される。


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