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【ブラッセル駐在員 島森 宏夫 3月14日発】欧州議会は3月13日、非食用向け 畜産副産物規則(以下「畜産副産物規則」)案の修正勧告を決定した。その一環と して、EU委員会に対し、ケータリング(配膳)業者から出る残飯など食品廃棄物 に関し、@安全な廃棄を義務付けること、A飼料利用については、登録された食品 廃棄物を承認施設で適正に殺菌処理した場合に限り認めること、を規定する規則の 提案を6月30日までに行うよう要望した。食品廃棄物の飼料としての不法利用が豚 コレラや口蹄疫の発生原因として非難されていることから、欧州議会では、家畜疾 病のまん延リスクを低減するため、食品廃棄物に関する規制強化が必要と判断した。 なお、現在既に厳しい管理化で食品廃棄物飼料の利用を認めている国にあっては、 4年間を限度に新規則への移行期間を認めるべきとしている。 畜産副産物規則(案)は、昨年制定された伝達性海綿状脳症(TSE)規則に次 ぐ牛海綿状脳症(BSE)対策の重要法令として位置付けられている。この規則は、 非食用の畜産副産物の適正な処理・利用について定めるものであり、畜産副産物を リスクに応じて分類し、それぞれの処理、利用方法を規定している。同規則では、 @食用に適した動物から得られたものに限り、飼料・化粧品・医薬品向けへ利用で きること、A飼料利用の場合、同種の動物への利用(共食い)は禁止すること、B 畜産副産物のトレーサビリティ(追跡可能性)を改善すること、などが規定される 予定である。 EU委員会のバーン委員(公衆衛生・消費者保護担当)は、欧州議会の本勧告に より、畜産副産物規則の制定がさらに遅れることについての懸念を表明した。審議 中の畜産副産物規則は、2000年10月に提案された後、2001年12月に修正提案が行わ れており、最終決定まで間もないものと見込まれていた。 一方、食品廃棄物については昨年、豚への飼料利用禁止が合意され、「豚コレラ の防疫に関する理事会指令(2001/89/EC)」の下で、2002年11月から施行予定と なっている。特定の条件下に限り食品廃棄物の飼料利用を可とすべきとの今回の欧 州議会の見解・勧告は、この指令と異なるものであるため、調停作業が不可欠とな る。バーン委員は、食品廃棄物の家畜への給与は家畜疾病を伝達する危険性が大き いとして、あくまで飼料利用に反対している。また、豚への給与を継続することは、 既定方針である飼料の品質および完全なトレーサビリティの確保、さらに共食いの 禁止に矛盾することも指摘した。畜産副産物規則案を共同審議している農相理事会 では、食品廃棄物は毛皮動物以外の家畜には飼料として給与すべきでないとの立場 である。 なお、BSE対策として、2001年1月から肉骨粉飼料の全家畜への暫定使用禁止 措置が実施されており、その解除に当たっては、まず畜産副産物規則の制定が必要 との声が大きい。規則の制定が遅れれば、肉骨粉飼料の全面使用禁止措置も継続さ れるものとみられるが、本件については、6月18日の農相理事会で議論される予定 である。
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