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EUの牛飼養頭数、6年連続で減少


【ブラッセル 山田 理 5月8日発】EU統計局(EUROSTAT)は先般、
各加盟国から報告を受けたデータに基づき、牛の飼養頭数および牛肉生産予測を公
表した。今回公表された資料は、2001年11月または12月時点の牛の飼養頭数と2002
年の牛肉生産予測である。

 これによると、2001年11月または12月時点のEU15カ国の牛飼養頭数は、前年同
期に比べて1.2%下回る8,030万6千頭となり、96年以降、6年連続の減少となった。

 カテゴリー別に見ると、肉用または乳用経産牛の更新用(繁殖用)として供され
る1歳以上の未経産牛を除き、すべてのカテゴリーで前年同期を下回った。

    EUのカテゴリー別牛飼養頭数
               (単位:千頭、%)
   2000年 2001年 01/00
1歳未満の子牛 23,907 23,592 ▲1.3
1歳以上の雄牛 7,841 7,648 ▲2.5
1歳以上の未経産牛
(と畜用)
2,925 2,797 ▲4.4
1歳以上の未経産牛
(その他)
13,898 13,961 0.5
乳用経産牛 20,371 20,153 ▲1.1
肉用経産牛 12,108 11,945 ▲1.3
合  計 81,240 80.306 ▲1.2
注:各年11月または12月時点の頭数

 国別に見ると、EU15カ国のうち11カ国で前年同期を下回った。特に、2001年に
口蹄疫(FMD)の大発生に見舞われたイギリスでは、FMD清浄化のための殺処
分等による影響で、前年同期比6.6%減と、最大の減少幅を示した。

 一方、EU最大の牛飼養頭数を誇るフランスでは、乳用経産牛を中心とした農場
保留の増加などにより、前年同期を1.0%上回った。また、アイルランドでは、生
体牛輸出の不振を受けて、前年同期を0.9%上回った。

       EUの国別牛飼養頭数
               (単位:千頭、%)
   2000年 2001年 01/00
ベルギー 3,201 3,106 ▲2.9
デンマーク 1,891 1,840 ▲2.7
ドイツ 14,479 14,119 ▲2.5
ギリシャ 566 585 +3.4
スペイン 6,164 6,305 +2.3
フランス 20,089 20,281 +1.0
アイルランド 6,459 6,518 +0.9
イタリア 7,401 7,395 ▲0.1
オランダ 3,890 3,842 ▲1.2
オーストリア 2,156 2,119 ▲1.7
ポルトガル 1,414 1,399 ▲1.1
フィンランド 1,035 1,019 ▲1.5
スウェーデン 1,618 1,617
イギリス 10,878 10,161 ▲6.6
EU15カ国 81,240 80,306 ▲1.2
注1:ベルギーにはルクセンブルクも含む
注2:各年11月または12月時点の頭数

 2001年の牛のと畜頭数(食用)は、30カ月齢を超える牛の特別買上・廃棄処分な
どにより、前年に比べて5.2%減少したとみられている。しかし、2002年について
は、一転して同4.5%増加するとEUROSTATでは予測している。これは、主
に、成牛価格の回復に伴い、農場に保留されていた牛などの出荷増加が、2002年の
前半まで続くとみられていることによる(2002年上半期と畜頭数:前年同期比13%
増、下半期:同2%減)。

 牛海綿状脳症(BSE)をめぐる2度目の騒動から約1年半が経過し、域内の牛
肉消費量は徐々に回復しており、2003年には通常レベルまで回復するとの見方もあ
る。2002年の牛肉需給・価格については、域外輸出を除き、前年の状況からは、確
実に改善するとみられている。


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