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アルゼンチンで2002年酪農乳業展が開催


【ブエノスアイレス 玉井 明雄 5月15日発】2002年酪農乳業展(MERCO LACTEA 
2002、以下、乳業展という。)が5月9日〜12日、アルゼンチンのコルドバ州サン
フランシスコ市で開催された。乳業展は、同国の有力酪農雑誌社であるインフォル
タンボ(INFORTAMBO)社と2大新聞社の一つであるラナシオン(LA  NACION)社が
共同で開催したもので、今年で2回目となる。同国では、コルドバ州、サンタフェ
州、ブエノスアイレス州の3州で全国の生乳生産量の約7割以上を占めるといわれ、
開催地であるサンフランシスコ市は、コルドバ州とサンタフェ州の州境に位置する
酪農の中心地である。昨年の乳業展には、デラルア元大統領、カバロ元経済大臣な
どが来訪し、入場者は約3万人と発表されている。

 今回の乳業展の主な内容は、@育種改良を図るための高品質乳牛の品評会、A生
産者を対象とした各種セミナーの開催、B酪農政策の討論などである。主催者側の
説明によると、@については、主に米国やカナダから精液を輸入し改良されたホル
スタイン種240頭およびジャージー種50頭の計290頭の品評会が行われた。Aについ
ては、チリやボリビアなどからの生産者も参加した。

 今年は、コルドバ州のデラソタ知事とサンタフェ州のレウテマン知事が5月11日
のホルスタイン品評会の表彰式に出席したが、その後に行われた記者会見では、酪
農政策に関するコメントはなく、アルゼンチンの政治経済問題についてのコメント
に終始した。

 経済危機にあえぐアルゼンチンでは、酪農乳業セクターもその例外ではなく、生
産者、乳業メーカーともに厳しい経営状況にある。生産者は今年3月、乳業メーカ
ーに対し生乳価格(乳業メーカーによる生乳1リットル当たりの生産者支払価格)
の引き上げを求め、全国規模の抗議行動を行った。その後、コルドバ州とサンタフ
ェ州の主な乳業メーカーと生産者の間で、4月の生乳出荷分については0.24ペソ
(約10円:1ペソ=約40円)とすることで合意した。しかし、インフレが急速に拡
大する中、生産者は、大手メーカーによる牛乳の小売価格の約30%に相当する約0.
40ペソ(約16円)を要求しており、交渉は継続中である。

 アルゼンチン農牧水産食糧庁(SAGPyA)が4月中旬に発表した需給予測によると、
2002年の生乳生産量は、前年比5.8%減の890万キロリットルと3年連続の減少が見
込まれている。SAGPyAでは、@生乳価格が安価であることに加え、A経済の混乱に
伴う投入資材の取引の遅延、B通貨切り下げ後の補助飼料や輸入資材の高騰、C乳
業メーカーによる生乳代金支払の遅延などが生産動向に大きく影響するとみている。
生乳生産量の減少は、安定的な生乳確保に支障を来すばかりか、余剰分を輸出に回
すことも困難となる。

 こうした状況下、今回の乳業展では、インフォルタンボ社のエコノミストが、輸
出を含めた中長期的な酪農政策の必要性を強く訴えた。また、乳業展の開会式に出
席したコルドバ州のエスキアレティー財務・生産大臣は、アルゼンチンの牛乳・乳
製品の輸出振興や国内の需要増進などを目的とする新機関の早期設立を望むととも
に、生産者と乳業メーカーが生乳価格を巡り争いを繰り返すのではなく、お互いに
結束して酪農乳業セクターの危機を乗り切るべきと主張した。 


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