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EU委、各国関係者との農業・食品政策対話を終了


【ブラッセル 島森 宏夫 5月16日発】EU委員会は5月13日にブラッセルで、
関係者との農業・食品政策に関する意見交換会の最終回を実施した。この催しは、
EU委員会のフィシュラー委員(農業・農村開発・漁業担当)およびバーン委員
(保健・消費者保護担当)により共同で企画され、これまで1年間に渡って各国で
実施されてきた。農場からフォーク(消費者)まで、幅広い食品流通関係者を対象
に意見を聴取し、今後の政策展開のあり方、特にさらに議論を深める必要がある分
野を特定するのが目的だった。EU委員会では、結論を次のように要約し、具体的
な施策に生かしていくこととしている。

1 農業

 農業は食品連鎖(流通)の基礎であるとともにそれ以上の役割があることを考慮
すべきである。農業は自然循環を担い、経済的価値以上のものがある。様々な地形
や準自然環境の維持には農業の積極的な役割が必要である。自然環境にさらされる
農業は、収量・価格が不安定で、これが政策介入を必要とする大きな理由である。

 多面的機能という概念は、欧州農業への社会の期待のみならずその重要な特徴を
表している。経済部門としての農業は、多くの役割を果たし、持続可能で、競争力
があり、欧州全体に広がっていなければならない。地方を維持し、自然を保護し、
農村地域の活力を高めるため重要な役割を担うことができなければならない。貿易
わい曲は最小にしつつ、農業がそうした役割を最大限発揮できるような対策が必要
である。また、欧州の農業・食品分野の競争力も重要であり、研究開発が不可欠で
ある。

 農村開発も優先課題に位置付けられた。多くの国での議論で、この分野でまだや
れることが多いと力説された。環境施策として農民への援助は行われているが、同
様な事業について品質向上という見方もできるだろう。さらに、有機農業、多面的
機能の推進、小規模・伝統的農業者・生産者の支援もあるだろう。

 最終回では、動物福祉も考慮しつつ、社会・経済・環境的に持続可能な農業の重
要性が再び強調された。

2 食品政策

 食品流通全体における消費者の信頼回復に向けた欧州食品安全機関の設立は優先
課題である。さらに食品安全白書に盛り込まれたアクション・プランの速やかな遂
行が特に重要である。

 消費者は、より多くの、より良い情報を求めている。その情報は通常、義務的ま
たは自主的表示により得られるが、表示は複雑かつ不明確になってきている。EU
委員会では、関係国や関係者の協力の下、表示規則を近代的にかつ可能ならば単純
化する視点で、評価したいと考えている。現行規則と表示目的の適正化と整合性確
保をねらいとして、原産地表示と栄養表示に関する現行規則への補足、全般的な表
示の明確化、表示以外の方法での情報提供などの可能性について見直す予定である。

 栄養・機能・健康などの食品クレーム(効用書き)についての法制化について、
提案された。栄養付加食品への消費者・業界の関心が高まっており、その法制化も
予定している。新食品、食品加工についても、注目されており、EU委員会では近
い将来コンサルテーション・ペーパーの公布を提案する予定である。また、職人的
生産、バイオテクノロジー、有機農業、持続可能な開発など、その他の形の革新に
ついても、食品政策・法制で振興する必要がある。

3 情報提供、コンサルテーション

 意見交換会では、関係者との対話の維持・強化が重要と強調された。EU委員会
では、今回と同様の催しを定期的に実施すべきとの提案を快く受け入れることとし
ている。 


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