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USDA、食肉工場などの食品安全性確保の指針を公表


【ワシントン 樋口 英俊 5月16日発】米農務省(USDA)食品安全検査局
(FSIS)は先ごろ、食肉、家きん肉、鶏卵などの製品を生産する工場における
食品安全性確保(Food Security)のためのガイドラインを発表した。米国では、
昨年9月の同時多発テロ発生以降、国土安全保障の一環として、食品の安全性確保
が重要課題となっており、今年1月には米保健社会福祉省(HHS)食品医薬品局
(FDA)からも、食品関連業界に対する同種のガイドラインが発表されているが、
今回はFSISが所管する食肉工場などの特定のニーズに対応して作成されたもの
である。

 一方、食肉加工業者の団体である米国食肉協会(AMI)も、独自のガイドライ
ンを作成し、会員企業へ提供しているが、USDAはこうした情報にアクセスでき
ない経営体などを念頭に置き、今回のガイドラインを作成した。なお、FDAおよ
びUSDAいずれのガイドラインも強制力はなく、採用・実施については、各自の
判断に任されている。

FSISのガイドラインの概要は次のとおりである。

1. 食品の安全性確保の計画管理

 @各工場などにおける計画管理の担当者の特定およびその責任の明確化を図るこ
と、A計画は、リスク管理の原則に基づき作成・実施すること、B毒物が混入した
場合、当該製品が確実に消費向けから除外される仕組みを担保すること、C計画で
は、問題製品の早急なリコール方法や、警察および衛生当局への通知に関する詳細
な段取りを定めておくことなど。

2. 工場外部

 @工場の境界線を明確化するとともに、すべてのアクセスポイントにガードマン、
アラームなどを配置し、承認されていない者の侵入を防ぐこと、A夜間の不審な行
動を監視できるよう十分な明るさの外灯を配置することなど。

3. 工場内部

 @制限区域の明示とアクセスの管理を行うこと、A工場のレイアウトを常に更新
し、直ちにこれを入手できるよう安全な場所に保管しておくこと、B訪問者は承認
された工場職員の随伴がない限り、アクセスを製造に関係のない場所のみに制限す
ること、C故意に製品が汚染された場合、関連するすべての商品の特定、区別およ
び安全性確保を適時的に行えるプログラムを用意しておくこと、D使用制限のある
原料などについては、厳重に保管するとともに、毎日の作業終了後、直接の担当者
以外の職員が実際の使用量などを確認すること、E包装材料に問題がないか使用前
に必ず確認すること、F最終製品の在庫数量に不審な動きがないか確認すること、
G勤務表は常に更新し、工場責任者が所持することなど。

4. 入出荷

 @出荷の際には、毒物混入を防止するための封印を行うこと。また、当該工場が
入荷するものについても、同様の封印を相手先に義務付けること、A出荷書類の記
載事項に不審な変更がある場合、十分に調査すること、B荷の出し入れをしていな
いトラックは施錠すること、C荷物のデリバリーを受ける際は、事前連絡を相手先
に義務付けることなど。

 FSISではFDAなどの他省庁とも協力の上、同局所管の食品の輸送、保管お
よびハンドリングに関する指針の提供に今後とも努めていくことを明らかにしてい
る。なお、国土安全保障のうち、食品の安全性確保に関するものとして、「食品へ
の脅威に関する危機管理ネットワーク(通称PrepNet)」が関連省庁間で形成され
ている。


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