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【ワシントン駐在員 渡辺 裕一郎 11月7日発】 米保健社会福祉省食品医薬 品局(FDA)は11月6日、現行のBSE(牛海綿状脳症)防止のための飼料給 与規制の強化に関し、来年2月4日までを提出期限としたパブリックコメントを 募集すると官報に公告した。 これは、昨年10月にカンザスシティで開催されたFDAの関連規則に関する公 聴会や、昨年11月公表のハーバード大学による危険性評価報告書の指摘などを受 けたものである。ハーバード大学の報告書は、「米農務省(USDA)やFDA が講じている早期の対策により、BSEが及ぼす米国内の牛や消費者に対する危 険性は極めて低い」と結論付けているが、USDAとFDAはともに、現行規制 を強化する方向で関係規則の見直しを行っていく旨を表明していた。 これまでのところ、USDA食品安全性検査局(FSIS)が今年1月に、追 加的な規制に関する政策オプション・ペーパーを公表し、一般からのコメント募 集を行っており、関係者からFDAの出方が注目されていたところであった。 今回の公告においては、以下の5項目それぞれについて、いくつかの質問事項 に対する回答が求められており、FDAとしては、今回寄せられる情報も踏まえ、 近い将来において規則改正のための提案を行う意向である。 @ レンダリング原料からの脳や脊髄の除外 (背景) ハーバード報告における特定危険部位に関する指摘を受け、FSISはこれらの 食用仕向けの禁止を検討中。 (質問事項) ・ 2歳以上の反すう動物由来の脳や脊髄をレンダリング原料から除外すべきか 否か ・ 除外する場合のレンダリング産業における実現可能性 ・ 除外する場合の影響(経済、環境、健康などの面でのプラス/マイナスの効 果) A 牛用飼料としての家きん廃棄物の利用 (背景) ハーバード報告は、家きん廃棄物(排せつ物、敷料、飼料残さなど)を牛用飼料 原料として利用する場合の危険性について、さらに調査を行う必要があると指摘。 (質問事項) ・ 家きん廃棄物の牛用飼料としての利用実態 ・ 家きん用飼料(反すう動物由来たん白が含まれる可能性)はどれくらいこぼれ 落ちて家きん廃棄物に含まれるのか ・ 利用を禁止する場合の影響(同上) B ペットフードの表示方法 (背景) 現行規則では、小売用ペットフードに対して「牛や反すう動物には給与しないよ うに」との表示義務は課されていない(これが再利用目的で販売される場合は表 示義務あり)。 (質問事項) ・ 小売用ペットフードにも上記表示義務を課すべきか否か ・ 表示義務を課す場合の影響(同上) C 飼料工場での交差汚染の防止 (背景) ハーバード報告や公聴会では、反すう動物用と非反すう動物用の両方を製造する 飼料工場における交差汚染の危険性を指摘。 (質問事項) ・ 上記工場において交差汚染を防止できる飼料残さ(carry-over:製造ライン 上の残留物)の許容水準 ・ 許容水準を設定するに当たっての科学的根拠 ・ 現在講じられている交差汚染防止策とそのコスト D 食べ残しの扱い (背景) ハーバード報告では、原則として規制の対象外とされている食べ残しにも最小リ スクがあると指摘。 (質問事項) ・ 食べ残しの反すう動物用飼料としての利用実態と利用時の加工方法 ・ 食べ残しの内容と発生元 ・ 食べ残しを反すう動物用飼料から除外する場合の影響(同上)
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