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【シンガポール駐在員 小林 誠 11月21日発】 マレーシア国内取引・消費者省 は11月20日、フェスティバル・シーズンにおける食料品などの統制価格を官報に告 示した。同国では、11月上旬に行われるヒンズー教の冬期祭典であるディーパ・バ リ(2002年は11月3日)以降、イスラム教の断食月(同11月6日〜12月6日)、ク リスマス、西暦新年から旧正月(2003年は2月1日〜3日)までの期間をフェステ ィバル・シーズンと称しており、例年、食料品を中心とした祭典関連品目の需要急 増による価格騰貴に頭を痛めている。今回発表された統制価格は、断食明け(ハリ ラヤ・プアサ)前後の11月29日〜12月13日までの期間を対象としたものであり、旧 正月向けの価格は別途告示されることになっている。 同国の人口構成は、マレー系6割、中国系3割、インド系1割となっており、特 に、人口比の高いマレー系の大半を占めるイスラム教のハリラヤ・プアサと中国系 住民の旧正月における食料品需給ひっ迫とこれを見越した価格の大幅な引き上げが 問題となっている。 同国は、食肉や野菜類を含む25品目通年の価格統制品目としており、上限価格を 定めることができるが、このうち、鶏肉、国産牛肉、インド産水牛肉、鶏卵を含む 11品目をフェスティバル・シーズンの特定品目として指定し、別途上限価格を告示 して取り締まりを強化している。これら11品目については、シーズン中の販売にラ イセンスが必要となり、1品目当たり1リンギ(約32円)を支払って国内取引・消 費者省からライセンスを取得する。ライセンスを得ないで販売しているのが摘発さ れた場合、最高7,500リンギ(約24万円)の罰金が課せられる。また、今年からは、 11品目については、ピンク色の値札を付けて統制品目であることを明示することが 義務付けられており、このような表示をしなかったり、統制価格を上回る価格で販 売した場合には、最高1万5千リンギ(約48万円)の罰金が課せられる。 今回告示された統制価格は、直近3ヵ月間の毎日の価格変動と5〜8月における 2週間ごとの価格調査を基にして算出されたものであり、国内 138郡について、郡 ごとの上限価格が示されている。統制価格は、従来、州ごとに設定されていたが、 州内にも地域により大きな価格差があることから、2000年に郡単位へ変更された。 畜産物に関する統制価格は、鶏肉(中抜きと体)が、1羽当たり5.4〜6.5リンギ (約173〜208円)、インドからの輸入水牛肉が1キログラム当たり6.5〜9リンギ( 約208〜288円)、国産牛肉が同13〜23リンギ(約416〜736円)となっており、マレ ー半島部諸州各郡が低価格、東マレーシアの各郡が高価格となっている。 政府は、10月末以降、今年のフェスティバル・シーズンの食料品供給量は潤沢で あり、不足が見込まれれば早急に輸入を実施するとのプレス発表を繰り返しており、 消費者の冷静な行動を呼びかけるのに躍起となっている。 また、政府は、今年から統制価格による価格安定の実効性を高めるため、政府の 監視員の補助として4万人程度の主婦ボランティアを募り、恒常的・抜き打ち的な 監視体制を導入することにしている。従来から、価格監視員の調査時にのみ、統制 価格以下の値札に付け替えて、摘発を逃れる行為が横行しており、その実効性を疑 問視する声が上がっていたことがある。
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