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【ブラッセル駐在員 山田 理 10月17日発】 EUのフードチェーン・家畜 衛生常設委員会 (SCFCAH)は先般、食肉・食肉製品および乳製品の旅 行者による持込等に関する規則を強化するとした EU委員会の提案を採択し た。 イギリスでは2001年2月、口蹄疫(FMD)の発生が確認された後、9月末 の終息まで7ヵ月にわたり FMDが猛威を振るった。また、同年3月にはフ ランス、オランダ、アイルランドにも飛び火し、EU各国がFMDの防疫・ 予防対策に追われたのも記憶に新しい。 その後、欧州議会のFMD臨時委員会、ブラッセルで開催された FMDの 防疫・予防に関する国際会議や国際食料農業基金(FAO)のFMD防疫欧州 委員会などにおいて、不正輸入や旅行者によって持ち込まれる畜産物を介して FMDが進入する危険性が指摘され、その改善が勧告されていた。 現行のEU法令では、域外からの旅行者が個人消費用として、携行または荷 物内に所持する畜産物に関して、当該製品に対する公的な衛生証明書がない場 合でも、例外措置として輸入(EU内への持込)が認められている。欧州議会 などの勧告を受けて、EU委員会は、この例外措置の停止を食肉安全性などに 関するEU法令を審議するEU委員会内の法制委員会であるSCFCAHに提 案していた。同提案は、SCFCAHでの採択を受けて、今後、EU委員会に よって最終的な規則化が図られ、EU官報に公告された後、2003年から適用さ れる見込みである。 ただし、乳児用粉ミルク、ベビー食品は、引き続き持ち込みが認められる。 医療用の特定食品については、 @冷蔵保管が必要でないこと、 A特許ブラン ド製品であること、 B包装が破損していないことなどの条件を満たす場合に 持ち込みが認められる。 なお、グリーンランド、アイスランド、サンマリノ、リヒテンシュタイン、 スイスおよびEU加盟候補国(トルコを除く)などからの旅行者が持ち込む製 品には新たな規則は適用されない。 その他の食肉・食肉製品および乳製品の個人的な持ち込みに関しては、商業 的輸入と同様に、衛生証明書などの必要書類を添えて輸入申告することが求め られる。 EU委員会のバーン委員(保健・消費者保護担当)は、「深刻な家畜疾病の まん延を引き起こす可能性のある輸入畜産物に対して、我々の防御を強化する 賢明な対策である。 FMDによる危機がいまだに鮮明な記憶として残り、ま た、豚コレラの問題が現在継続している中にあって、家畜疾病の発生を防ぐた め、必要とされるすべての予防策を実施することは妥当なことである」として、 今回の規則強化に対して理解を求めた。 また、「規則の強化はコインの片面に過ぎない。新たな規則に関して、EU やEU加盟候補国に入国する旅行者への周知を図ることが同様に重要である」 として、関係者への周知徹底の重要性を強調した。 今後、新たな規則を旅行者に知らせるためのキャンペーンが実施されるが、 キャンペーンの一環として、EUの公用語やEU加盟候補国の言語だけでなく、 アラビア語、スワヒリ語、ロシア語、中国語、日本語などのポスターが作製さ れる予定である。
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