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豪州酪農乳業団体再編が実現に向け前進 (豪州)



【シドニー駐在員 粂川 俊一 10月24日発】 豪州連邦議会で審議されていた
酪農産業法改正法案(Dairy Industry Legislation Amendment Bill 2002)
が10月10日に成立し、酪農2団体の統合を核とする業界団体再編に向けて一歩前
進することとなった。この団体再編は、2000年12月の業界の最高政策決定機関で
ある豪州酪農乳業協議会(ADIC)の年次総会において提起された豪州酪農庁
(ADC)と酪農研究開発公社(DRDC)の2団体を統合し、デイリー・オー
ストラリア(Dairy Australia:仮称)という新団体を設立するもので、昨年12
月のADICの年次総会において、業界内の合意が得られたことが発表され、再
編提案として連邦政府に提出されていた。

  ADICの提案は、@民営化、A酪農家の課徴金による運営、B連邦政府から
の研究開発資金の調達を基本に置いて、ADCとDRDCの機能とともに、AD
ICのいくつかの機能を引き継ぐ新団体を設立するものである。今回の法案は、
ADCとDRDCの再編に係る所要の規定整備を行うものである。

  今回の法案提出に際して、連邦政府のトラス農相は、直接的にデイリー・オー
ストラリア設立に関しては言及していないが、次のように業界団体再編について
のコメントをしていた。

・2000年7月の酪農乳業制度改革実施以降の市場状況や酪農乳業団体の構造にお
  ける著しい変化が、業界団体に法令上の業務を合理化へと駆り立てた。

・業界は、ADCとDRDCを課徴金支払者に対して直接的な責任を持つ民間企
  業に統合することを政府に提案してきた。

・この提案は、課徴金支払者に基幹産業活動の性格と方向付けに対するより大き
  な発言権を与えるだけでなく、研究開発や市場開発による大きな利益を業界全
  体に提供する。

  ADICのローリー委員長は、この法案の成立に際して、「連邦政府は、再編
に向けた第1段階である今回の法案成立に引き続いて、再編提案をサポートすべ
きである。第2段階は、新団体の設立に向けた新たな企業的な構造の整備などに
備える立法措置が必要となるであろう」とコメントしている。

  さらに、同委員長は、新団体の設立は業界に対して、@単純かつ簡素化された
構造からの高い効率、A業界と課徴金に基づく業務の間の調和、B研究開発、貿
易政策、情報提供、プロモーション活動などでの調整など、「重要な相乗効果と
戦略上の利益」をもたらすと期待している。

  なお、新団体の設立は、2003年7月1日が目標とされている。

  一方、生産者団体の1つである豪州生乳生産者連盟(AMPA)は、今回の法
案成立に対して、「検討段階の話と思っていた。  ADICは課徴金を支払わ
ない製造部門の意見によって左右されており、新たな団体に資金を供給する生産
者は、成立の過程で最終的に発言権を確保するべきである」としており、生産者
団体の一部には批判的な見解もあるようだ。

  なお、今回の法案成立では、酪農乳業制度改革において実施された補償措置の
うち、廃業補償の対象農家の要件緩和なども併せて実施されることとなっている。
 
 

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