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日本の牛肉需要回復が今後の決め手(豪州)



【シドニー駐在員 幸田 太 9月5日発】豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)
は、肉牛及び羊牧産業の年次予測レポート「Australian Cattle and Sheep
Industry Projection」の2002年中間速報版を発表した。

  このレポートは、今年1月に発行された同名レポートを1月から半年間経過し
た時点で主要市場の動向の変化などを勘案し、再度予測の見直しをしたものであ
る。

  今回の内容で、最も注目されているのは、昨年9月に確認された日本における
牛海綿状脳症(BSE)による、豪州肉牛産業への影響である。そのほか、干ば
つの拡大、豪ドル高、米国向け輸出枠の新管理制度の施行遅延による影響を懸念
した内容となっている。

  去勢牛の枝肉価格は、1キログラム当たり230-240豪セント(約149.5−156円:
1豪ドル=65円)となり、昨年のピークであった9月と比較すると40%、年度当
初からも20-30%それぞれ落ち込んでいる。しかしながら、昨年は価格が高水準
で推移したこともあり、記録的な下落ではなく、生産者の利益は確保されるレベ
ルにあるとされている。価格下落の要因には、干ばつの拡大に加え、日本向け輸
出の減少が大きい。2002年の6ヵ月間において数量ベースで前年比44%減、金額
ベースでは同50%減と推計されている。BSE確認以前は豪州産牛肉の輸出は日
本が最大のマーケット(金額ベース)だっただけに、このような輸出の減少は、
豪州のすべての肉牛部門に大きな打撃を与えた。

  2002年通年の輸出量は、日本向けの輸出不調が響き、2002年当初の予想であっ
た98万トンから前年比1%増の96万トンへと下方修正した。国別では、韓国、カナ
ダ向けは今後も輸出量が伸びることを期待している。そのほかに下方修正の要因
としては、米国の肉牛価格の下落による輸出の不調、アルゼンチン、ブラジルの
通貨状況を反映した南米産牛肉の輸出価格の低下によるアジア市場での競合、豪
ドルの上昇、米国向け輸出枠の新管理制度の遅延などが挙げられるように、2002
年上半期は、ネガティブな要素がそろった半年間であった。
  
  なお、今年後半の見通しは、干ばつの影響がなければ、安定した牛肉生産が期
待でき、緩やかではあるが国内市場価格は回復するとされている。輸出について
は、日本の牛肉需要がカギを握っている一方、米国の肉牛価格の上昇が期待でき
るため増加が見込まれている。

  一方、牛肉輸出の不調と相反して前向きな見通しの1つとして、その影響により、
一昨年来上昇基調にあった牛肉の国内小売販売価格も下降基調となったことから、
それまで毎年、減少し続けていた国民1人当たりの牛肉消費量が2.6キログラム
増加し36.8キログラムとなるとされている。
 
 
牛肉輸出の推移(単位:千トン)

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002(推計)

日本

320

281

312

321

313

326

319

255

米国

211

180

221

285

291

353

398

395

韓国

64

58

61

34

78

73

57

90

カナダ

33

29

35

39

43

41

51

80

台湾

32

24

35

34

35

29

29

34

アジア

43

55

70

40

50

43

44

47

EU圏

21

28

30

53

20

9

12

9

その他

25

40

38

50

38

28

37

50

合計

749

695

802

856

868

902

947

960

資料:MLA「Australian Cattle and Sheep Industry Projection mid year update」
 



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