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秋以降の展開が気になる肥育豚価格


【ワシントン 道免 昭仁 9月5日発】 米農務省(USDA)が8月30日に
発表した当月(速報値)の肥育豚価格は、前年同月比32.2%安の100ポンド当たり
34.90ドル(1キログラム当たり約92円、1ドル=119円、以下同じ)となった。肥
育豚価格は、98年12月の16.6ドル(約44円)を底におおむね前年水準を上回って
きたものの、2001年10月以降再び前年割れになり、8月としては1971年来の低水
準となった。先ごろUSDAが発表した第2四半期(4〜6月)の飼養動向調査に
よれば、繁殖豚が前年同期比0.4%増の620万9千頭、肥育豚が同2.3%増の5,362
万7千頭で、2期連続しての増加となるとともに、肉豚のと畜頭数も2002年8月
までの累計の前年同期比1.8%増の6,484万6千頭となった。さらにカナダからの
生体豚の輸入も、2002年6月までの累計で前年同期比1.8%増の約289万7千頭と
なっていることから生産量の増加がこれまでの価格低迷の一つの要因と推測され
る。

  また、シカゴマーカンタイル取引所(CME)の肥育豚先物価格(10月限)は、
8月以降急落し、月末には30ドル(約79円)を割り込む展開を見せた。9月5日
現在では、32.7ドル(約86円)となっており、若干持ち直してきている。12月先
物市場においても同様の動きが見られ、9月5日現在で、36.7ドル(約96円)と
なっている。

  8月の肥育豚価格の下落についてミズーリ大学のエコノミストは、ピッグサイ
クルの関係から本年2月の子豚生産頭数が対前年比で約3%の増加となったことか
ら、8月のと畜頭数も対前年比で同程度と予想されるが、週ベースでのと畜は200
万頭を超え、対前年比6.3%増となったことが、8月における肥育豚価格を31年振
りの低水準にした要因になったと分析している。同氏は、この傾向が続けば、肥
育豚価格は今後も下がると予測するとともに、9月下旬にUSDAから発表される第3
四半期の飼養動向に注目していると述べている。一方、アイオワ州立大学のエコ
ノミストも当月の下落については前者と同様の見解を示したが、これがすぐに98
年の肥育豚価格の暴落にはつながらず、一時的なものであるとの見解を述べてい
る。

  一方、USDAが8月15日に発表した「Livestock, Dairy& Poultry Outlook」
によれば、肥育豚価格は、第3四半期(7〜9月)が35〜37ドル(約92〜97円)、
第4四半期(10〜12月)が28〜30ドル(約73〜79円)、通年では34〜35ドル(約89
〜92円)で推移すると予測している。

  このような状況の中、USDAのコリンズ首席エコノミストは9月4日の記者
会見で肥育豚価格の下落に関する質問に対し、8月において週ベースで200万頭を
超えると畜が行われたことが価格低下の要因になったのかも知れないが、このこ
とがすぐに98年のような暴落につながるわけではなく、今後もマーケットの動き
を注視すると述べた。

  秋以降の市況がどうなるのかが注目されるところである。
 
 











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