ALIC/WEEKLY


バーン委員、GM作物認可再開等を求める


【ブラッセル 関 将弘 9月12日発】 EUにおいては、現在、新たな遺伝
子組み換え (GM) 作物の認可は停止している状況にある。このような中、
デイビッド・バーン保健・消費者保護担当委員は 9月10日、デンマークのニ
ューボアで開催された非公式農相理事会において、欧州の食品部門の「革新
(Innovation)」を進めることについての演説の中で、GM作物の認可再開
等を求めた。
 
  バーン委員は、農業および食品部門の「革新」は、今後数年間、欧州にお
いて多くの関心とエネルギーをつぎ込む必要がある、極めて重要な事項であ
り、「革新」は、食品の安全、トレーサビリティ、品質、新製品の開発、そ
して動物福祉のそれぞれの分野で欠くことのできないものであると述べた。
また、欧州の消費者は、食品が安全で高品質であること、食品が環境と動物
福祉に配慮した方法により生産されることを期待していること、幅広い選択
ができることに価値があると考えていること、さらに規則どおりで正確な方
法により、食品の組成や栄養価、出所、ある場合には製造方法などについて
の情報を得たいと考えていると述べた。概要は以下の通り。

〇バイオテクノロジー
 バイオテクノロジーは、より安価・安全で効率的な生産という点で、大い
なる可能性を有しておいると認識しており、感情的な抵抗や不十分または偏
りのある情報に基づく不安感により、バイオテクノロジー分野における「革
新」が妨げられないことが重要である。公衆衛生や環境を危うくするような
ことは論外であるが、もし、新たなGM作物認可の開始と、いわゆる認可の
一時停止(モラトリアム)の終了がなければ、「革新」について理論的に議
論する価値はない。

〇伝統的食品の保護
 すばらしく、かつ多様な欧州の食文化とそれら伝統的食品が果たす役割の
重要性について、欧州の消費者は非常に敏感である。欧州食品衛生規則の改
正や、共通農業政策の中間見直しが伝統的食品製造業者への支援になるであ
ろう。

〇動物福祉
 動物福祉の実施により、製造コストが高まり、これらのコストはEUの生
産者にとって競争上不利になるとの主張があるが、動物福祉の実施はわずか
なコストでできること、このコストのかなりの部分は、動物福祉を考慮した
製品であるとの付加価値により取り戻すことができるということが調査によ
り明らかとなっている。

〇EU拡大
 加盟申請国における食品安全性の分野における準備への支援等に全力を尽
くす。
  
 
 

元のページに戻る