ALIC/WEEKLY


USDA、2003年の食肉の国際貿易見通しを公表


牛肉の貿易量は史上最高か 

  米国農務省は3月20日、2003年の食肉の国際貿易見通しを公表した。これに
よると、2003年の世界の牛肉の貿易量は、世界的な需要の増加や疾病に対する
懸念が払拭されたことにより、2002年を4%上回る660万トンと見込んでいる。

  このうち米国については、2002年は干ばつの影響によって、と畜頭数が増加
したが、2003年は干ばつの緩和に伴って繁殖雌牛の保留が増加し、雌牛のと畜
が減少するとみられること等から、2003年の生産量は 3.5%減の1,200万トン
とし、輸出量は国内生産の減少に伴う価格の上昇が懸念されるとしつつも、国
内消費が減少すること等から 116万トンに増加するとしている。また、輸入量
については、ウルグアイ、アルゼンチンにおいて口蹄疫が発生したことから、
カナダ産の輸入が堅調に推移すると見られ、過去最高の 150万トンとなると見
込んでいる。
 
  カナダについては、干ばつの影響による飼料不足から飼養頭数は減少するも
のの、対米および対日輸出が好調であることから、輸出量は61万トンと大幅に
増加するとしている。



豚肉の国際貿易量の減少に伴い、米国の輸出量の増加も鈍化

  豚肉については、ロシアが関税割当を実施することによる輸入の大幅な減少
や、日本で牛肉消費の回復に伴って豚肉輸入の増加の鈍化すること等が見込ま
れている。貿易量は主要輸入国の動向次第としている。

  米国について見ると、生産量は、収益の低下に伴って、2003年後半から減少
に転ずるが、輸出については、@ロシア向けは米国の総輸出量の3%に過ぎな
いこと、Aメキシコが米国のメキシコ向け輸出を不当廉売ではないかと調査し
ていることについては NAFTA合意の下での解決に向けた動きがあること、B米
国産豚肉に対する韓国の需要が堅調であることなどから、2%の増加を見込ん
でいる。輸入については、その約8割を占めるカナダ産について、前年比1%
の増加を見込むとともに、同国の肥育豚の 69%に相当する580万頭が生体輸入
されると見込んでいる。
  
  また、飼養頭数が増加しているカナダについては、輸出量の6割を占める米
国、豪州、韓国向けの増加から、輸出は前年比4%増と引き続き堅調に推移す
るとしている。
鶏肉貿易は前年並

  2002年には、ロシアの関税割当の影響により、ロシア向け輸出は減少したが
、一方で、ロシア向け輸出が他国(低病原性鶏インフルエンザ等が発生して生
産量が減少した米国および米国の輸出先)へ振り替えられたことから、貿易量
が増加した。2003年については、ロシアの関税割当の実施に伴う貿易への影響
そのものは緩和されるものの、ロシアの輸入量は減少するとし、これに伴い、
ブラジルからの輸出量が減少し、総量では1%減少するとしている。
 
  米国からの輸出量は、ロシアの関税割当の弾力的な運用が期待されること、
メキシコの NAFTAの暫定セーフガードが、対象品目がもも肉に限定され、かつ
もも肉についても過去の実績に見合った枠が割り当てられていることから全体
では7%増加するとしている。
◎米国における食肉生産への開戦の影響 

  米国の食肉生産者団体等に対してイラクとの開戦に伴う生産等への影響につ  
いて聴き取りを行ったところ、短期間で戦争が終結した場合的には影響はない  
が、長期にわたった場合には、原油価格の上昇に伴う生産費の上昇や国内消費  
の変化(牛肉から安価な鶏肉への消費のシフト)が懸念されるとの見方が一般  
的であった。
【ワシントン駐在員 犬飼 史郎 3月26日発】

元のページに戻る