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USTR、日本の農業分野の閉鎖性を批判


今次報告は非関税障壁を重点的に記述 

  米国通商代表部(USTR)は4月1日、2003年版外国貿易障壁報告を公表した。
報告では、貿易相手国における米国産品の輸入障壁を解消し、国内の輸出産業
の振興を図ることを目的としている。本年の報告は米国の主要な貿易相手国に
ついて、特に非関税障壁となる衛生植物検疫、税関手続き、政府専売、保護主
義的な規制を重点的に取り上げている。具体的にはEUによるホルモン牛肉に
関する措置、鶏肉の低濃度塩素処理問題、遺伝子組み換え植物の承認の緊急停
止、日本の牛肉・豚肉の関税の緊急措置、動植物検疫措置、米麦の輸入制度等
について言及している。
 

牛肉の輸入制度

  牛肉の関税の緊急措置については、輸入急増にともなう国内生産を保護する
ものとしてウルグアイ・ラウンド交渉で与えられたものと位置付け、BSE(
牛海綿状脳症)の発生に伴う消費の減少から通常の消費量への回復による輸入
増加は、関税の緊急措置が意図する輸入急増には当たらない。関税の緊急措置
の発動はあくまで権利であって規則ではないため、米国としては日本が発動を
回避し得ると考えており、日本国内の発動反対派と共闘して発動回避を要請し
ていくとしている。

  
豚肉の輸入制度

  豚肉については、実質的に差額関税制度を維持していることにより、輸入者
が関税を最小限とするように価格の異なる部位を組み合わせ、その平均CIF
価格を分岐点価格に合わせる行為が行われている可能性がある。関税の緊急措
置の発動により高価格部位の比率が高まることから安定的な貿易が損なわれて
いる。WTOの農業交渉において、関税の実質的な引き下げ、差額関税および
関税の緊急措置の改善、より透明性の高い輸入制度の獲得を求めていくとして
いる。
 

動物検疫措置等

  日本の低病原性鳥インフルエンザに関する動物検疫措置について、OIE(
国際獣疫事務局)は低病原性鳥インフルエンザに対する措置の必要性を明言し
ておらず、同措置により2002年の対日輸出は前年比45%減となったとし、OI
Eの専門家会合において日本の措置が検討されたとしている。

  この他、米国産の肉骨粉や動物油脂等の輸入禁止措置について、米国はOI
Eの定めるBSE清浄国の条件を満たしていることから、これらの輸入禁止措
置の科学的根拠がないとしている。ヒトへの耐性菌問題に伴う飼料添加物に関
する使用禁止措置について、当該措置の導入の検討にあたって、科学に基づい
たリスクアセスメントがなされていない等としている。


慎重な表現を用いているが強い懸念を表明

  日本は農産物貿易を制限する基準や行政上の要求の適用を増加させており、
かつ、科学の原則とのかい離を強める傾向にあり、米国産の食肉、鶏肉、野菜
、果実の輸入が拒絶又は制限されているとして慎重な表現を用いてはいるが全
体的に強い懸念を表明している。
 
  報告はあくまで米国側の視点から記述されたものであり、日本側から的確な
反論をしていくことが、日米間の農産物貿易問題を解決していく上で重要であ
ると考えられる。

 

【ワシントン駐在員 犬飼 史郎 4月9日発】

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