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新酪農団体設立法案が成立 豪州連邦議会で審議されていた酪農2団体の統合を核とする新団体であるデイ リー・オーストラリア(DA)設立のための酪農産業事業改正法案(Dairy Industry Service Reform Bill 2003)が3月27日に成立した。 DAの設立は、2000年12月における業界の最高政策決定機関である豪州酪農乳 業協議会(ADIC)の年次総会で、豪州酪農庁(ADC)と酪農研究開発公社 (DRDC)の2団体を統合し、新団体として再編成することが提案されたこと に端を発する。 この提案を受け、最初の法的措置として酪農産業法改正法案(Dairy Industry Legislation Amendment Bill 2002)が昨年10月10日に成立した。この法案に より、ADCとDRDCの再編に向け、主にADCの機能について試験研究など が実施できるように整備された(「海外駐在員情報」平成14年10月29日号参照)。 2002年12月には、DAを設立するための法律制定を進めることが閣議決定され 、同農相は、暫定的なDA設立に関する委員を任命していた。 今回の法案成立により、新団体であるDAが法律で位置付けられ、目標である 7月1日の設立に向けて大きく前進することとなった。 今回の法案の概要と野党修正案 今回の法案の主な概要は、次の通りとなっている。 ・DAの設立は、ADCを課徴金を支払う酪農家に対して経営責任を持つ組織に 変更することにより行い、すべてのDRDCの職員や資産、負債はDAに移管 し、現在ADCとDRDCによって実施している産業のための販売促進、研究 ・開発などの業務の大部分をDAが承継する。 ・新団体の運営財源については、@課徴金を原資として新団体が実施する各種業 務資金、A連邦政府が交付するDRDCが実施していた研究開発資金を基本と し、新団体に、連邦政府と新団体との間の合意に基づく支出権限を与える。 ・新団体が酪農制度改革の補償財源である酪農構造調整資金(DSAF)に関す るADCの役割を承継する。 そのほか、2団体の職員の処遇などを含め新団体設立に関する所要の事項が盛 り込まれた。 一方、法案通過に際して、野党から修正案が提出され、法律の一部修正が行わ れた。民主党の修正案は、民主的な運営を実行するために、すべての酪農家が新 たな組織に対して平等な議決権を持つべきとするものであったが、これについて は、別途その取り扱いについて規則を定めることとされた。 ADICのローリー委員長は、生産量に比例した課徴金に応じて議決権を持つ ことが豪州の酪農協では一般的で、生産量が多ければ課徴金も増えるため、生産 量の多い者が多数の議決権を持つのが合理的であると批判している。新たな組織 の運営に当たって、課徴金を支払う酪農家の議決権は根幹をなすものであること から、その規則制定をめぐる今後の議論も予想されている。 農相は自主的な会員登録を呼びかけ こうした中、DA設立のため、DAの会員登録案内の送付が開始されたが、ト ラス農相は4月14日、以下のように述べた。「DAの設立は酪農家が本当に必要 とするものを自らが議決権の行使を通じて、業務として実現することを可能にす るため、多くの会員を持つほどより効果的である。重要なことは、DAの会員資 格は自動的なものではなく、会員になることを希望する酪農家が直接申し込むこ とにある。」 同農相は、今回の登録が酪農産業の将来をも左右すると捉え、慎重かつ真しに 検討の上、酪農家が自主的な判断に基づいて登録を行うことを期待している。 【シドニー駐在員 粂川 俊一 4月15日発】
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