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フィードロット飼養頭数増加も多くの不安定要素を抱える(豪州)


飼養頭数は前回調査比、前年同期比とも増加

  豪州フィードロット協会(ALFA)は2月4日、豪州食肉家畜生産者事業
団(MLA)との共同調査による四半期ごとの全国フィードロット飼養頭数調
査の結果を発表した。これによると、総飼養頭数は2002年12月末時点で70万6
千頭となり、前回調査の9月末と比べ8%増加した。

州別飼養頭数内訳(単位:頭)
  12月末

 

前期比

増減率

前年同期比

増減率

NSW州 259,084 4% 8%
QLD 343,604 4% 15%
VIC 50,849 19% 24%
SA 16,703 7% △32%
WA 36,237 133% 7%
合計 706,477 8% 11%
仕向け先別飼養頭数内訳(単位:頭)
  12月末 前期比

増減率

前年同期比

増減率

日本向け 365,173 14% 1%
韓国向け 17,301 29% 12%
他輸出 31,395 54% 2%
輸出計 413,869 17% 1%
国内向け 270,024 2% 23%
その他 22,584 △31% 186%
合計 706,477 8% 11%
  フィードロット飼養頭数を州別に9月末と比較してみると、すべての州で増加
した。総飼養頭数で全国の約5割を占めるクインズランド(QLD)州、同じく
約4割を占めるニューサウスウエールズ(NSW)州では、それぞれ4%増加し
た。また、ビクトリア(VIC)州や西オーストラリア(WA)州では、それぞ
れ133%増、19%増と大幅に増加した。


増加要因は干ばつの影響

  ALFAは、フィードロットの総飼養頭数の増加要因については、干ばつの影
響による11月と12月の牧草不足の拡大から大量の国内市場向けの肉用牛がフィー
ドロットに導入されたことによるとしており、干ばつが終息すれば現在フィード
ロットで大量に飼育されている未経産牛は再び放牧されるとみている。

  フィードロットの収容能力に対する利用率は、全体で77%と前回調査からは1
ポイントのみの増加にとどまっているが、これは、収容能力が全体で6%増加し
たことによる。

  一方、仕向け先の内訳をみると、輸出向けが41万4千頭と全体の59%、国内向け
が27万頭で同38%となった。9月末と比較すると、輸出向けは17%の増加、国内
向け数量は2%の増加となっている。輸出向け数量が増加した要因は、需要の回
復により日本向けが14%増加したことや韓国向けが29%増加したことなどである。

  また、干ばつの影響から、前回調査と同様に、仕向け先が不明の「その他」向
けが依然として多い。


2003年は先行きを占う年

  ALFAでは、今後のフィードロット産業の見通しについて、「輸出が回復し、
国内需要も好調な反面、干ばつの影響が深刻なことから、フィードロット産業は、
@飼料不足、穀物価格の高騰、水不足、A肥育素牛供給の縮小、BAを要因とし
た肥育素牛価格の高騰などの多くの不安定要素をかかえており、2003年はフィー
ドロット産業にとって試される年になるだろう。」と、総括している。
【シドニー駐在員 井上 敦司 2月12日発】 
 
 
 

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