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輸入停止理由はオーエスキー病か 12月24日、ロシアの輸入業者がブラジル南部のサンタカタリナ(SC)州産豚 肉の購入を中止したことがSC州農務局を通じてブラジル農務省に伝えられた。 ロシア政府からの輸入停止措置のため、購入を中止していると輸入業者は説明 しており、26日から船積みが中止されている。 ロシア政府からSC州産豚肉の輸入停止措置に係る正式通告がないため詳細は 定かではないが、現地報道によれば、同州にあるブラジル最大の食肉輸出港 (イタジャイ港)に常駐するロシア検査官が、ブラジル政府が交付するロシア 向け豚肉の証明書には、「SC州はオーエスキー病の清浄州」と記載されている のに、地元テレビでオーエスキー病に感染している豚の存在を知り、ブラジル はロシアに通告する義務を怠ったからであると報じられている。 ブラジル農務省は反論 ブラジル農務省オリベイラ農牧防疫局長は報道機関からの取材に対し、「ブ ラジル政府のロシア向け豚肉の証明書には、オーエスキー病清浄州にある養豚 場で飼育されたものであると記載されており、ロシアの検査官の話が本当であ れば検査官は誤解している(※1)。また、ブラジルは豚肉に関するすべての 情報をロシアに提供しているため、SC州の実態も熟知しているはずである(※ 2)」と反論している。 なお、SC州では、2000年末よりオーエスキー病撲滅プログラムを進め、抗体 陽性反応等を示した繁殖用豚3万7千頭( SC州の繁殖用豚の0.7%)をと畜す ることとし、すでにその9割が実施され、2003年3月に完了する予定であった が、急きょ1月に前倒して完了させることになった。 また、同省カバレロ動物防疫部長は、「ブラジルが肥料原料となるロシアか らの硝酸アンモニウムに対して、アンチダンピング処置を講じたことに対する 報復である」とも語っている。 被害額は2,500〜3,000万ドルと推測 ブラジルの豚肉輸出は、2002年1〜11月に43万5千トン、そのうちSC州が23 万7千トンで54.5%を、ロシア向けは34万7千トン、そのうちSC州が20万3千 トンで58.4%を占めている。SC州キエン農務局長は、「ロシアの決定により2,500 〜3,000万ドルの被害を受けるであろう」と推測している。 さらにロシアは、EUがロシア産小麦に2003年から輸入割当の導入と関税引 き上げを講ずることに対抗し、2003年から食肉に対し、現行関税率が適用され る輸入枠を設定し、枠外の関税引き上げを実施するとしており、すべての国が 対象となるためブラジルにも適用される。ロシアに対しての輸出は、前年同期 比(2002年1〜11月)で2.5倍の増加となっており、ブラジルにとって主要市場 に成長しているが、ロシアのこれらの措置が今後の豚肉輸出にどのような影響 を与えるのか注目される。 (注1)オーエスキー病清浄州のステータスの基準は、@発症頭数が総飼養頭数 の1%以下、A総農家数の90%が清浄、等であること。 (注2)SC州の非清浄農家は0.4%。 ◎アルゼンチン牛肉振興協会の始動に向け政令を公布 アルゼンチン政府は、牛肉の輸出振興および国内需要促進などを目的とした アルゼンチン牛肉振興協会設置法を2001年12月17日に公布した。しかし、その 数日後からの政治的混乱および経済危機のため設置に係る具体的な規則等が公 布されず1年が過ぎようとしたため、生産者団体などから早期に同協会を設置 するように望む声が強まっていた。こうした中、2002年12月23日に政令が可決 され、農牧水産食糧庁は30日以内に州代表者3名を指名し、代表者会議を開催 して理事会メンバーを指名しなければならないこととなった。(なお、事業内 容等の詳細は、海外駐在員情報第519号を参照)
【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 1月8日発】
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