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SENASA、EU向け輸出パッカーを認定 アルゼンチン農畜産品衛生事業団(SENASA)は6月12日、EU向け輸出パ ッカー等58施設(輸出向け冷凍保管業者、羊肉等のパッカーも含む)の認定リスト を公表した。 これによって生鮮牛肉輸出に係るEU向け認定施設数は、昨年度と比較して新たに 11施設加わり、昨年度まで認定されていた15施設がリストから除かれたことから全 51施設となった。 なお、EUは、SENASAが認定した施設をEU向け認定施設として承認してい る。 今回の認定は、SENASA決議第1/2003号(2003年1月2日付け:生鮮肉の 輸出に係わる施設の認定について)および決議505/1998号(1998年4月30日付け: SENASAが実施する衛生検査マニュアルについて)により行われた。SENA SAは、これまで年に数回認定を実施してきたが、決議1/2003号により認定は年1 回のみとし、また新たにISO9001(品質マネジメントシステム要求事項を規定し た国際規格)の認定とHACCP(危害分析・重要管理点)の履行を義務付けた。 しかし、同決議が本年初めに制定されたことから、SENASAはISO9001に ついては認定に係る申請の有無により審査している。 認定を受けられなかったパッカー等は不服を申し立て EUの不正対策局(OLAF)から牛肉輸出において不適切な手続きが取られた (注)と指摘され輸出停止状態にある2社を除き、認定を受けられなかった施設を 所有する業者は、SENASAに以下の抗議を行っている。 @ 決議1/2003号の公布時期は、バケーションシーズンにあたり業界へ周知徹底が なされていない。 A 新たに認定された11社に比べ衛生レベルに格段の差があるとは思えない。また 新規認定および認定されなかった理由をSENASAは公表していない。 B OLAFの監査の結果、何も指摘されてはいない。 なお数社の告訴を受け、25日には司法関係者がSENASAに対し家宅捜査を実 施している。 従業員などによる抗議行動も起こる 現地では今回の措置により3,000〜5,000人が失業し社会的影響が大きいと報じら れている。また、従業員などによる道路封鎖やSENASAのバレイロ食料監査局 長宅に対する爆破襲撃事件にまで発展したが、その理由としては前述したように認 定の機会が年1回となり、来年まで認定のチャンスがなくなったことに伴い、特に パッカーにとって利益の多いヒルトン枠(EU向け高級牛肉枠で7月1日〜6月30 日が対象期間)を失うことである。認定が受けられなかったパッカーの昨年度のヒ ルトン枠配分量は合計8,000トン弱で、主な業者と配分量は以下のとおりである。 なお、昨年度は経済危機を配慮され通常より10,000トン多い38,000トンがEUか ら割り当てられている。 ・ESTANCIAS DEL SUR :2,041トン ・ECOCARNES :1,725トン ・CEPA(1工場のみ) :1,433トン ・SADOWA :1,370トン これらの事態収拾に向けカンポス農牧水産食糧庁長官は、「決議が制定された本 年度に限り次回検査までの期間を短縮するか、ヒルトン枠の配分について何らかの 変更を行う可能性を検討しているが、国際的な信用を失わないため衛生規則を順守 することが重要である」と述べており、ヒルトン枠の新年度が始まる7月1日に向 け動向が注目される。 (注)正式公表はないが現地では、ヒルトン枠として輸出できる部位と異なる部位 を輸出したと報道されている。 【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 6月25日発】
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