ALIC/WEEKLY
米国下院農業委員会はWTO・FTA等に関する農業団体からの公聴会を開催 米国議会下院農業委員会は、6月18日、農業関係団体からのWTOおよびFTA等 に関する公聴会を開催した。先週号(海外駐在員情報通巻第583号参照)に引き続き 公聴会において、ファームビューロー(AFBF :全米最大の農業者団体)や全国鶏肉 協議会(NCC)など各団体が述べた意見についてその概要を報告する。 ファームビューロー(AFBF) ファームビューローは500万人を超える会員を有する全米最大の農業者団体である。 米国農業にとって輸出は重要な部門であり、米国農業は、海外マーケットの拡大に 努めているが、現在、多くの海外マーケットにおいて関税障壁や国内保護により不利 な立場に置かれ、フラストレーションが溜まっている。今次WTO交渉において、ハ ービンソン議長案の内容(輸出補助金、国内支持政策、衛生植物検疫措置(SPS)協 定など)を検討した結果、この提案は受け入れられるものでなく、今後も同提案を支 持することはできないとした。昨年夏に出された米国提案は今後も支持するものの、 これを進展させるための努力を求めるとした。 また、FTAにあっては、市場参入機会の拡大のための関税撤廃、SPS協定など非関税 障壁の分野の解決を原則として交渉を行うべきであり、各国との交渉におけるセンシ ティブ品目の取り扱いなどについて注視してゆくとした。 全国とうもろこし生産者協会(NCGA) アルゼンチンや中国の輸出量の伸びや2002/03年の輸出量が97/98年レベルまで落 ち込むとのUSDAの試算があるなど、取巻く環境は厳しい状況にあり、今後のWTO 農業交渉などの進展が死活問題になるとした考えに立ち @ 関税障壁の削減 A 貿 易を歪める国内支持の削減 B 輸出補助金の撤廃 C バイオテクノロジー技術を用 いた産品を差別するような技術的障害に関する(TBT)措置の廃止の基本理念の達成 に向けてWTO農業交渉などの進展を支援とした。なお、米国提案については既に支持 する旨の正式表明を行っているところであり、3月のモダリティーが合意に至らず交 渉が進展しなかったことに失望し、メキシコカンクンでの進展を注視してゆくとした。 また、FTAのうち、メキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)について、同国の国 内農家支援強化と輸入とうもろこしなどに対するセーフガード実施への動きについ て、けん制するとした。 全国鶏肉協議会(NCC)、米国家きん・鶏卵輸出協会(USAPEEC)他 全国鶏肉連盟、米国家きん・鶏卵輸出協会、全国ターキー連盟およびバージニア 家きん連盟の4者は、米国提案を支持するとした上で、良くない合意をするくらい なら合意しないほうがましであると強気な姿勢を見せた。また、WTO農業交渉と 平行してFTA交渉を進めることを求めた。 【ワシントン駐在員 道免 昭仁 6月25日発】
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