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新年度農業プランの骨子が発表される ブラジル政府は6月12日、「国民により多くの食料と所得を、国家により多くの 外貨収入を」というスローガンを掲げ、2003/04年度の農業プランの骨子を発表し た。同プランの目的として、@現政権の優先課題のひとつである飢餓撲滅計画の実 施に必要な食料の需要を満たすこと、Aブラジル国家食糧供給公社(CONAB) が管理する政府在庫の再形成を図ること、B記録的な農産物の増産により国内消費 の増進と輸出拡大を図ること、などを挙げている。同骨子の主な内容は次の通りで ある。 農業融資資金として約326億レアルを投入 ブラジル農業政策(詳細は「畜産の情報」2002年12月号P69〜70を参照)の柱で ある農業融資制度については、2003/04年度の農業融資資金として、前年度比25.8 %増の約326億レアル(約1兆3,692億円:1レアル=約42円)が投入される。内訳 については、@ブラジル農務省の管理下にある融資として、営農融資および販売融 資が164億レアル(約6,888億円)、投資融資が58億レアル(約2,436億円)、A市 中金利による融資が50億レアル(約2,100億円)、Bブラジル農地開発省(MDA) の管理下にある、家族農業者を支援するプログラム(PRONAF)が54億レアル (約2,268億円)となっている。 農業融資金利について、@の資金に対しては年利8.75%などの固定金利が適用さ れる。さらに、@の中でも、農村の雇用創出と農家の所得向上を図るプログラム (PROGER RURAL)に対しては、従来の年利8.75%から7.25%へ引き下げ られる。同国のインフレ率が上昇傾向にある中で、ロドリゲス農相は「農業融資金 利を前年度並みもしくはそれ以下の低水準としたことは、資金投入量の増額以上に 重要な意味をもつ」と強調している。 営農融資および連邦政府貸し付け(EGF)における1農家当たりの融資限度額 を品目別に見ると、コメ、フェイジョン豆、マンジョカ、小麦が、それぞれ前年度 比33%増、生乳が50%増となっており、飢餓撲滅計画の実施により需要の増加が見込 まれる基礎食料が増額されていることがうかがえる。また、トウモロコシは、作付 奨励策として、60%増の 40万レアル(約1,680万円)に引き上げられた。これは、 2002/03年度作の供給過剰に伴う価格低迷から、2003/04年度作の作付面積の減 少が見込まれ、養鶏・養豚経営の生産コストへの影響が大きくなるとの懸念がある ためである。一方、トウモロコシに比べ価格の優位な大豆に対する融資限度額は、 前年度同となった。 最低保証価格制度の基準価格を引き上げ 農産物価格の下落リスクの低減を目的として、農家に対し生産コストを保証する 最低保証価格制度(PGPM)についても、基礎食料とトウモロコシの最低価格が 大幅に引き上げられた。例えば、トウモロコシについて、主産地の南部および南東 部では、60キログラム当たり42.1%増の13.50レアル(約567円)となった。なお、 農産物の取引に対する融資(本紙通巻第570号を参照)として、最低価格を基準と するEGFとは異なり、市場価格に近い価格を基準とする特別融資(LEC)をP GPMの全品目に適用することが決定された。 トウモロコシなどの政府在庫を再形成 また、市場価格の変動に対応するためCONABが管理する農産物の在庫数量( 5月21日時点)は、トウモロコシが9万2千トン、コメが5万3千トンと低い水準 であったが、少なくともトウモロコシ300万トン(1ヵ月分の消費量)、コメ150万 トン(45日分の消費量)などの在庫を必要とするとしている。これらについては、 連邦政府買い上げ(AGF)、農産物販売オプション契約などを通じて、在庫が行 われるとしている。 農業連盟の会長、農業融資は不十分との見解 業界団体の反応として、ブラジル全国農業連盟(CNA)の会長は、農業プラン の農業融資資金が、前年度比約26%増となったことについては一定の評価ができる が、生産コストの上昇、飢餓撲滅計画の実施に伴い見込まれる食料消費の増加など を踏まえると、十分なものではないとの見解を発表している。 今回の農業プランは、今年1月に発足したルラ政権が初めて示した農業部門に対 する政策大綱であるだけに、今後どのように運用・実施されるのかその動向が注目 される。 【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 7月2日発】
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