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国際的な専門家はカナダ食品検査庁による調査および既存のBSE対策を調査 スイス、NZ、米国の疫学の国際的な専門家4名から成る調査団は、6月7日からカ ナダを訪れ、カナダ食品検査庁(CFIA)によるアルバータ州でのBSE発生について の調査および既存のカナダのBSEまん延防止策等を調査した。 調査団は、CFIAによる北米大陸初の北米産牛でのBSE発生の背景およびマクロ な疫学的な危険要素に係る調査について、他の BSE発生国で実施された調査と比較 して、短期間でレベルの高い情報収集および評価が行われていると評価した。今回 の発見および発生牛のフード・チェーンへの侵入の防止は既存の措置が機能してい ることを示すものであるとし、カナダがこれまで改善してきたリスク低減措置がBSE のまん延の可能性を低減しているとした。また、飼料業界がBSEという病気の要素の 包括的な関係をよく理解しているとし、かつ、規制当局等が他国での経験から多く を学んでいるとした。 調査よりも今後の対策に目を向けるべき CFIA による調査結果は、過去における暴露の可能性を明確に認識するとともに、 BSEがカナダの牛群に存在またはまん延しているリスクに留意する必要を明確なも のとしている。積極的な調査と実施された淘汰は適当なものであるが、短期、中期 の政策の調整に目を向け直し、将来的な暴露を低減するための追加的な措置を講ず ることが適当である。 発生牛から生産された肉骨粉を含むエサおよびこれに暴露された牛群に関する調 査は公衆衛生および家畜衛生への寄与が小さいとしてこの必要性を否定した。 BSEは非接触伝染性の疾病であることから、連邦レベルで飼料の汚染を通じた暴 露を防止するための措置を講ずることが重要とした。 @ SRMの除去 SRMの使用禁止は公衆衛生および家畜衛生の両面で最も重要でかつ効果が高い としてその実施を強く推奨する。迅速にかつ連邦レベルで実施されることが最優 先されるべき。 病原物質を含む器官が食品・飼料に含まれることのないよう、SRMとして扱われ る器官および牛の月齢は科学的に判断されるべきである。 これと併せ、機械的な除骨についても中枢神経組織を含まないよう、検査システ ムを強化すべき。 A サーベイランスの強化 リスクの高い月齢のものに着目した農場で死亡した成牛に対するターゲットサー ベイランスの強化を推奨する。理想的にはこのような牛について全頭検査するこ とが望ましい。併せてリスクの高い牛がフード・チェーンに他のルートを通じて 入り込むことのないよう追加的な措置を講ずることが推奨される。 特にCFIAの調査により、リスクの高い地域や月齢が認識されており、ターゲット サーベイランスはこのような牛群も対象とすることが推奨される。 B MBMの飼料給与禁止の強化 SRMをフード・チェーンから除外することが肉骨粉(MBM)による感染を低減する 上で重要である。反すう動物から生産されたMBMとその他ほ乳類および家きん由 来のMBMとの区別が困難であることを考慮すべきである。反すう動物由来のMBMが 反すう動物の飼料に配合されることを防止するとともに交差汚染の可能性を排除 することが重要である。また、農家レベルでも実効性のある措置を講ずる必要が ある。 C リスクコミュニケーションの継続 この他、カナダの当局は、リスク要因の認識、リスク評価、適切なリスクマネー ジメント措置の議論において、公衆衛生部局、消費者等も含めた良好なリスクコ ミュニケーションを継続しなければならない等の指摘がなされた。 カナダ政府は専門家の提言を踏まえた対応を約束 ヴァンクリフ農相は、27日SRMの除去に係る新たな政策措置について、近い将来 導入することを確約した。また、業界や米国とも協議しつつ提言を踏まえた政策変 更を行っていくとした。 【ワシントン駐在員 犬飼 史郎 7月3日発】
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