ALIC/WEEKLY
5月の輸出額が最高を記録 アルゼンチン国家統計局(INDEC)が6月30日に発表した貿易統計によると、1 〜5月の輸出額は116億4,500万ドル(約1兆3,741億円:1ドル=118円)、輸入 額は46億8,800万ドル(約5,532億円)、貿易収支は69億5,700万ドル(約8,209億 円)と大幅な貿易黒字となった。 また、5月の輸出額は前年同月比16%増の27億5,600万ドル(約3,252億円)、 輸入額は同26%増の 10億8,200万ドル(約1,277億円)、貿易収支が同 11%増の 16億7,400万ドル(約1,975億円)となり、特に輸出額および貿易黒字は、2002年 1月の変動相場制へ移行後、最高となった。 外貨収入は農産品の輸出が頼り 品目別輸出額を見ると、農林水産品および農林水産加工品が約6割を占めてお り、外貨収入を得るためには農産品輸出が頼りの状況となっている(表)。 なお、輸出額増加の背景をINDECは、以下のように分析している。 @ 大豆の世界的な需要増加とアルゼンチンの記録的収穫量(注1)により、輸出 (注2)が中国を中心に増加していること。 A 同じく大豆から生産される大豆油、大豆カスなどの大豆加工品のEU、イン ド、東南アジア等に向けた輸出が好調であったこと。 B EU、特にドイツ向けの食肉およびハチミツ輸出が盛んであったこと。 農産品輸出好調の中、乳製品輸出は激減 アルゼンチン農牧水産食糧庁(SAGPyA)によれば、牛乳・乳製品(製品重量ベ ース)の1〜5月の輸出量は前年同期比22.9%減の約6万3,700トンとなってお り、特に前年において輸出量の約4割を占めていたブラジルが、同65.3%減の1 万2,700トンと全体量の約2割まで落ち込んでいる。 これらの原因としては、@生乳生産が減少傾向で推移していることは既報(海 外駐在員情報通巻第566号、第579号他)のとおりであるが、1〜5月においても その傾向には変化がないこと(注3)、A生産量減少に伴い乳価が上昇(注4) し、輸出価格も上昇していること(例えば5月の牛乳・乳製品の1トン当たりの 輸出価格は、前年比20%高の1,669ドル)、Bブラジル政府が掲げる「飢餓撲滅 計画」により SAGPyAは乳製品の輸出増加を期待していたが、ブラジル国内での 生産量が増加していることなどが考えられている。 SAGPyAは2003年の生乳生産量は回復すると予測していたが、以上からその達 成はやや難しくなってきているようである。 アルゼンチンの品目別輸出額(FOBベース) (単位:百万ドル、%)
2002年 |
2003年 |
|||
1〜5月 |
1〜5月 |
対前年同期比 |
||
農林水産品(1次産品) |
2,577 |
3,020 |
17 |
|
穀物類 |
1,235 |
1,228 |
-1 |
|
油糧種子等 |
479 |
861 |
80 |
|
魚介類 |
212 |
220 |
4 |
|
生鮮果物 |
243 |
279 |
15 |
|
はちみつ |
51 |
105 |
106 |
|
その他 |
358 |
329 |
-8 |
|
農林水産加工品 |
2,885 |
3,633 |
26 |
|
油脂 |
708 |
1,080 |
53 |
|
食品残さ |
967 |
1,205 |
25 |
|
食肉 |
188 |
253 |
35 |
|
皮革・毛皮 |
268 |
291 |
9 |
|
酪農品・鳥卵 |
126 |
92 |
-27 |
|
その他 |
627 |
713 |
14 |
|
鉱工業製品 |
3,089 |
2,965 |
-4 |
|
燃料・エネルギー |
1,716 |
2,027 |
18 |
|
輸出額合計 |
10,266 |
11,645 |
13 |
資料:INDEC (注1)SAGPyAによれば、2002/03年度は3,500万トン(見込み)の生産量で 過去最高。 (注2)大豆は、農林水産品のうち油糧種子等に含まれる。 (注3)生乳生産量の増減とほぼ一致している主要乳業メーカーの1〜5月 の生乳取扱量は、前年同期比16%減。(海外駐在員情報第566号参照) (注4)4月の1リットル当たりの乳価は前年同月比 102%増の0.46ペソ。 【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 7月8日発】
元のページに戻る